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「決済戦争」で勝ち残るための4つの条件
「PayPay」「LINEpay」「楽天ペイ」、そして「d払い」など各サービスが乱立し、ついに日本でもキャッシュレス決済の顧客・加盟店争奪戦が熱を帯びてきた。この競争は、いったいどこに行き着くのか。「キャッシュレス社会の推進」をミッションに掲げ、数々のセミナーやコンサルティングで活躍するNCB Lab.代表の佐藤元則氏に話を伺った。
「モバイル決済戦争」では、すでに時代遅れ?!
キャッシュレス決済市場は、「PayPay」や「LINEpay」などのQR決済サービスを中心に、ついに揺籃期を迎えたといえます。これまでそれぞれの事業で顧客基盤を築き上げてきた豪族たちが、「決済」という新しい領土の奪い合いを始めているような、いわば群雄割拠の状況です。
では、この「モバイル決済戦争」に勝利するのは、どのような企業なのでしょうか。
まずいえるのは、決済を「最終チェックアウト」と考え、それを踏まえたシームレスなショッピング体験を提供できる企業です。
たとえば、アリババやアマゾンなどは、「決済を感じさせないショッピング体験」をすでに開発しています。
アリババの「Alipay」では顔認識による決済が普及しており、アマゾンのレジレス店舗「Amazon Go」では、入店の際にQRコードをかざせば、あとは好きな商品を持ち帰るだけで自動的に決済がなされるというショッピング体験の提供を実現しようとしています。
その意味で、「レジでQRコードをかざす」という段階で足踏みしている日本は大きく立ち遅れていると言わざるを得ません。
飲食店であれば、「家やオフィスで、『たい焼き10個』などの注文を済ませ、店頭で出来上がった商品をピックアップすると自動的に決済が完了する」というような、細かな業態別のニーズに合わせた体験が提供できる、というショッピング体験こそ、今後の社会に求められる技術だといえます。
そういう意味で、現在のモバイル決済サービスで満足しているような企業に先はないでしょう。すでにある「最先端のサービスの提供を見据えた開発力」と、「マーチャントに寄り添ったビジネス展開ができる営業力」を持った企業でなくてはいけません。
キャッシュレス普及には「手数料の定額化」が必要だ
モバイル決済についてお話をしていると、よく「加盟店手数料は、何%が適正か」というような質問をいただくことがあります。
これに対する答えとしては「限りなくゼロにする」というのが、今後の日本でキャッシュレスを推進するにあたって必要なことではないかと考えています。
たとえば、ローカルスーパーではギリギリの値幅で経営をしている企業も多く、決済1回当たり、決済金額の3%程度の手数料でも大きな損失となってしまいます。 わかりやすく説明すると、決算金額100円あたりの利益が10円だった場合、手数料で3円取られてしまう。これは大きな痛手です。ローカルな地域でクレジットカードが普及しない理由もここにあります。
ヨーロッパでは、カード発行社手数料の上限がクレジットカード決済で0.3%、デビットカードで0.5%ですが、イギリスではこれを基にした加盟店手数料がそれでも高いと言われています。
私が注目しているのは、通信事業者による「定額制のサービス」です。現在は、POSデータなどの送信にはNTTグループが保有する「CAFIS」というネットワークが使用されています。そしてこのシステムを利用すると、どうしても決済ごとに手数料がかかってしまうという問題があります。
海外では、アメリカの「ChasePay」が、料率制ではなく、月額固定制にして、加盟店のコストを下げています。Squareは加盟店向けに予約やデリバリー、オンラインショップ運営などをパッケージにし、サブスクリプションモデルにしています。このようなサービスを、通信事業者が決済と抱き合わせで提供すれば、一躍決済インフラの要になる可能性もあるでしょう。
「モバイル決済戦争」に勝ち残る企業の条件は?
これらを踏まえると、今後の決済サービスの中心となっていくのは、「決済の専門企業」よりも、通信事業者が有力候補だと言えそうです。条件として考えられるのは以下です。
・独自の経済圏がすでにある
・銀行と連携し、無料で現金をポイント化できる
・決済による利益に依存しない(決済プラスアルファの定額化ができる)
・マーチャントにメリットがあるサービスを開発できる
キャッシュレスの全国的な普及のためには、手数料を限りなくゼロにしながら、あらゆるマーチャントにとって利便性の高いサービスを提供しなくてはなりません。これらの条件をクリアした企業こそが、それを可能にすることができるでしょう。
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