徹底解説NFT とは何か?小売ビジネスをどう変えるか、アパレルが積極的な理由は

デロイト トーマツ グループ ディレクター:赤星弘樹、デロイト トーマツ グループ コンサルタント:望月一弘
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メタバースB大

新型コロナウイルスの感染拡大がきっかけとなった、個人や企業が仮想空間へと活動の場を移す流れは、定着し今後ますます強くなることが予想され、メタバースをはじめとしたバーチャル空間内で行う新規事業やマーケティングはビジネスにとって重要な課題と言える。また、昨年からは「NFT」を使用したビジネスにも注目が集まっている。本稿では、メタバースでのビジネスに有用なNFTの簡単な解説を交えながら、大手ファッションブランドの参入事例をもとに、小売や流通市場の今後のトレンドについて考察してみたい。

固有の価値を証明するNFT 数十億円で取引される例も

 2021年10月にFacebook(フェイスブック)が社名をMeta Platforms(メタ・プラットフォームズ)に変更し、メタバースを事業の柱にすると発表してから、世界中でメタバースの議論や投資が活発化している。マイクロソフトがゲーム会社のアクティビジョン・ブリザードを約8兆円で巨額買収する計画を発表したことも、世界中に大きなインパクトを与えた。これらの巨大企業の参入による巨額の資金投入により、これまでの予測よりもずっと速いスピードでメタバースの世界が人々にとって身近な存在となる可能性がある。

 また、昨年からブロックチェーン上で発行される「NFT」を使用したビジネスも大きな注目を集めており、スタートアップだけでなく大手企業もNFT関連のビジネスに参入している。メタバースにおけるビジネスに有用とされるNFT。ここでまず、NFTとは何かについて解説したい。

メタバースのイメージ
メタバースへの議論、投資が活発化する中、メタバース上のビジネスにおいて有用とされるNFTにも注目が集まっている(Thinkhubstudio/iStock)

 NFTとは、ビットコインなどの暗号資産と同じくブロックチェーン上で発行されるトークンの一種である。NFTは個々のトークンに対して識別子を付与しており、デジタルデータに固有性を持たせることが可能だ。固有性を持ったトークンは通貨やビットコインとは異なり価値が等しくならないため、アートや写真、テキストなどのデジタル作品をトークン化したNFTは固有の価値を持つものとして高額で売買される事例が出ている。

 NFTに数十億円の値段が付いた事例もあり、バブルか否かなどのさまざまな議論があるが、デジタル上の資産について「誰が」「いつ」「何をつくった、購入した」ということを証明できるため、デジタルに価値を付けることを可能とする革新的な技術であると言える。

 NFTはデジタルで商取引が完結できるメタバースやゲームの世界と非常に相性がよい。デジタルで完結することができると、現実世界での運送や保管、交換などのさまざまなコストや時間がかからない。暗号資産を用いてNFTを売買することで、ユーザー同士で商取引がスムーズに行える。

NIKEにadidas、GUCCIも!有名ブランドがNFTを販売

 メタバースビジネスでNFTが活用されている事例をいくつか紹介してみたい。

NIKE(ナイキ)

 ナイキは21年11月に

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