Retail AIの「次世代型スマートショッピングカート」を体験! その新たな機能と買物に与える革新とは

2022/03/21 05:55
    湯浅 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
    Pocket

    ユーザーの声を反映した次世代型の特徴

    スマートショッピングカートの好調ぶりを受け、新たにリリースしたのが「次世代型スマートショッピングカート」だ。3月8日、「スーパーセンタートライアル田川店」に140台導入された。旧型と次世代型の大きな違いは、ハード面では、カートにバーコードリーダーが取り付けられた点だ。旧型では、手でスキャナーを持ち、商品をかざしてカゴにいれる必要があった。一方、次世代型ではタブレットの下にバーコードリーダーが搭載されている。次世代型のバーコードリーダーは旧型のハンドスキャナーに比べて、商品を読み取る範囲が広い。また、ハンドスキャナーを手に取る手間が省かれるため、次世代型では旧型よりもスムーズに買い物ができる仕様に改善した。

    スマートショッピングカート
    左:次世代型、右:旧型。次世代型にはタブレット下にバーコードリーダーが搭載されている。

    さらに、次世代型ではカートに買い物かごを2つとりつけることが可能になった。トライアルでは郊外や地方の店舗で飲料水などを、ケース買いをするお客も多く、そうしたニーズに対応するために搭載可能な買い物かご数を増やした。また、次世代型は、旧型と比較すると機体の約4分の1軽量化されていて、操作性も向上されている。

    商品のスキャン漏れを防止する自動検知アラーム装置を取り付けたことも、次世代型スマートショッピングカートの大きな特徴だ。購入したい商品をうまくスキャンできなかった時、タブレットに「商品のスキャン忘れはありませんか」という案内が表示される。旧型においては、故意によるものだけではなく、「うっかりミスによる商品スキャン漏れ」への対策も大きな課題となっていた。次世代型の導入により、これらの行為に由来する「商品の棚卸時の原因不明のロス」という店舗オペレーション上の課題を解決しようとしている。

    スマートショッピングカート
    商品をスキャンし忘れた際に表示される案内。

    新カート導入のスマートストアが山口県でオープン

    RetaiAIは、IoT機器やAI技術の導入により、効率的な店舗運営を可能にする「スマートストア」というコンセプトをリアル店舗で実現することを目指している。スマートショッピングカートだけでなく、「AIカメラ」も、同社が開発したユニークな技術だ。AIカメラは、商品棚の監視や、お客の店内の動線分析を行うカメラソリューション。商品の陳列状況や棚欠品率、平台充足率、お客がサイネージを見る行動の頻度など、店舗とお客のあらゆるデータを取得し、「お客が欲しいときに欲しいものを買える」売場をつくる手助けをする。

    この、「AIカメラ」と「スマートショッピングカート」を同時に導入するトライアルの店舗は「スマートストア」と呼ばれ、既に九州、東海、関東、北海道などで出店している。

    3月11日には、山口県で初となるスマートストアが、「スーパーセンタートライアル際波店」がオープンした。同店では次世代型スマートショッピングカートを約100台、AIカメラを約40台導入し、お客の買い物体験の向上を図る。

    リアル店舗に革新をもたらす新技術を導入し続けるトライアル。「次世代型スマートショッピングカート」は、「リテールテック」の名にふさわしい、これからの小売業を体現する展示だった。

    1 2

    記事執筆者

    湯浅 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

    1996年生まれ。シンガポール出身。同志社大学グローバル・コミュニケーション学部卒業後、経済メディアで記者職に就く。フリーライターを経て、2021年12月ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。大学在学中に1年間のアメリカ・アリゾナ州立大学への留学を経験。好きな総菜はローストビーフ、趣味は練馬区を散歩すること。

    © 2024 by Diamond Retail Media

    興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
    DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

    ジャンル
    業態