「X人材」に「Dスキル」を身に着けさせよ! DX人材を育成するための道筋とは?

鈴木 康弘 ((株)デジタルシフトウェーブ代表取締役社長)
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DX人材を育成するための2つの方法

 DX人材を育てていくためには、2つの方法があります。

 1つは、「D(デジタル)人材に対し、X(変革)スキルを身につけさせる」というものです。この方法は、すでにデジタルスキルを持つ人材に、”X”すなわち変革スキルを学ばせるという方法です。具体的には、デジタルスキルを持つ人材を採用し、自社の業務を理解させた上で、変革スキルを身につけさせるのです。

 もっとも、これはかなりリスクの高い方法でもあります。なぜなら、業務はある程度の時間を要すれば理解はできますが、変革とはゼロから新しいものを生みだすことですから、ある程度の個人の素養とスタートアップスキルをじっくりと身につけさせなければいけないからです。

 対して、もう1つはその逆、「X人材に対し、Dスキルを身につけさせる」方法です。これは、変革スキルを持つ人材に、”D”すなわちデジタルスキルを学ばせるというものです。具体的には、社内から業務をすでに理解し、スタートアップの素養がある人材を選び、そこからデジタルスキルを身につけさせる方法です。社内の人材を対象にしますので、業務知識・個人の素養などはある程度知っているなかから人材を選び、デジタルスキルを身につけさせるだけですので、リスクが少なく確実な方法と言えます。

DX人材育成は企業の命運を決める

 これから、すべての企業に変革が求められます。コロナ禍の2020年末にマーケティングの一人者のフィリップ・コトラー博士は「これから5年間、まったく同じ事業をやり続けた企業は、5年後に生き残っていることはないだろう」と世界中の企業に警鐘を鳴らしました。これから世の中が大きく変わるなか、企業は積極的にデジタルを活用して、変革を起こしていかなければ生き残れません。その推進に重要な役割を果たすのがDX人材です。

 そうしたなかでは、DXを推進できる人材を社内に有しているか否かが、企業の将来を決める大きな要素となってきます。そして、人材がまだ少ない現状において現実的な解決策は、DX人材を自社内で育成するほかありません。

 本連載第1回から今回までは、DX人材の定義、何をする人材なのかについて解説してきました。次回からは、より具体的にDX人材の育成手法、フローについてお話ししていきます。


筆者が代表を務める㈱デジタルシフトウェーブでは、無料マガジン「DXマガジン」を運営しています。DXの人材育成を通して企業の変革をめざす、というコンセプトのもと、DX実現のために「本当に役立つ情報」を提供。DXをめざす経営者、担当者に役立つノウハウが満載です。また、定期的に実施しているDX実践セミナーでは、各界の実践者の話を聞くことができます。https://dxmagazine.jp/

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記事執筆者

鈴木 康弘 / (株)デジタルシフトウェーブ代表取締役社長

1987年富士通に入社。SEとしてシステム開発・顧客サポートに従事。96年ソフトバンクに移り、営業、新規事業企画に携わる。ネット書籍販売会社、イー・ショッピング・ブックス(現セブンネットショッピング)を設立し、代表取締役就任。2006年セブン&アイHLDGSグループ傘下に入る。14年セブン&アイHLDGS執行役員CIO就任。グループオムニチャネル戦略のリーダーを務める。15年同社取締役執行役員CIO就任。16年同社を退社し、デジタルシフトウェーブを設立。同社代表取締役社長に就任。デジタルシフトを目指す企業の支援を実施している。SBIホールディングス社外役員、日本オムニチャネル協会会長も兼任。

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