地域密着のEDLP フォーマットで迎え撃つ、関西地場中堅小売の戦略
大阪府を中心に生鮮強化型の食品スーパー(SM)を展開するカノー(大阪府/嘉納英蔵社長)。同社は競争環境が著しく変化するなか、EDLP(エブリデー・ロープライス)と地域密着型のMD(商品政策)の両立をめざした新フォーマット店を徐々に拡大している。
地場中堅チェーンならではの独自の成長戦略をひも解く。
「肉のアプロ」が新フォーマットを展開
1953年、菓子小売業として創業したカノーが、新事業としてSMの1号店を出したのは79年のことだ。同社は90年代半ばから積極的な出店をスタートし、これまで着実に店舗網を広げてきた。
2024年11月現在、「食品館アプロ」ブランドを主力に、大阪府47店舗、兵庫県4店舗、京都府1店舗の合計52店舗を展開し、その売上高は640億円(23年度実績)だ。
同社のSMは、生鮮強化型の店づくりを志向している。青果、鮮魚、精肉、総菜の生鮮4品の売上高構成比は近年、50~52%で推移。大阪では「肉のアプロ」と称されるほど、とくに精肉の人気が高い。
カノーのもう1つの特徴が、多様な売場サイズだ。同社の店舗は120~140坪の「小型店」、220~230坪の「中型店」、280坪以上の「大型店」の3つに分類され、出店用地に合わせた柔軟な店舗開発を得意とする。ここ数年は中型店・大型店の出店をメーンに、店舗網を広げてきた。
立地も競合他社に比べて多様かつユニークだ。アクセスのよい幹線道路や生活道路沿いだけでなく、細い道が入り組んだ住宅密集地の一角にも店舗を有する。一般的にはSMが出店しないような立地にも店舗を置くのは、カノーが“超小商圏型”の店づくりを志向しているためだ。
店舗によって異なるが、多くの店舗で半径1km圏内を基本商圏としている。あえて商圏を狭く設定して、その局地的なニーズを深掘りし、シェアを高めることをめざす。
そのため「半径1km圏内に競合店が出店しない限りは、あまり影響を受けることはない」(カノー執行役員営業本部本部長の横山喜信氏)という仕組みになっている。
店長には、店舗運営について一定の裁量が与えられている。お客から要望のあった商品は原則、品揃えするほか、売場づくりも比較的自由に行なえる権限がある。これらにより地域密着型の店舗運営を実現しているのだ。
徹底的なEDLCで低価格を実現
そのカノーが21年から取り組んでいるのが、
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