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強豪ルミエールと激突!「ロピア筑紫野シュロアモール店」の売場を解説

ロピア(神奈川県/高木勇輔社長)は福岡県4店目となる「筑紫野シュロアモール店」(筑紫野市、以下、筑紫野店)を2023年11月22日にオープンした。前編では生鮮4部門の売場を解説、ロピアらしく競合の追随を許さない強い精肉売場を見ることができた。後編は日配・加工食品などの売場を見ていこう。
調査日=2023年12月17、18、19日 ※本文中の価格はすべて本体価格

ロピア筑紫野シュロアモール店の2階には家具の「アウトレットエックス」が入居している

「売りたい商品」が明確な売場

 日配売場は正面壁面に乳製品を28尺、スイーツとヨーグルトは80尺、牛乳と果汁飲料が20尺を構える。右壁面では麺を頭に漬物、納豆、豆腐、練り物を64尺で展開。このラインを形成できるのがロピアの強さである。多くのチェーンがこのラインを形成できないのは、商品構成とフェース取りの違いだ。

 乳製品はほぼ固定化された商品構成となっている。チルド飲料、ヨーグルトの構成も23年10月にオープンした「北九州リバーウォーク店」(福岡県北九州市:以下、北九州店)のスタイルを踏襲している。

 アイスクリームは個食タイプをよりどり5個399円で販促。「ハーゲンダッツミニ」(199円)も提供。「ジェラード」は地元福岡県の西通りプリン「Alvoジェラード」を9品目扱う。

 冷凍食品は平台とリーチイン什器で展開。平台に大容量商品を配置し、オリジナルとグループ会社のユーラスの商品を軸に構成する。市販商品は弁当、麺、パスタ、米飯などに絞り込んだ。ロピアの強みでもある「売りたい商品を売る」という姿勢をより鮮明にしている。

 和日配でも、競合店を意識した対応はあまり見られず、あくまでも「ロピアスタイル」を貫いている。日配はどうしても競合店に商品構成や価格を合わせたくなるところだが、ロピアはあくまで独自路線を追求している。。

加工食品は強烈な単品販促を展開

 加工食品売場はオーソドックスな配置となっており、レジ側から見て前方は米、即席麺、嗜好飲料、乾物、缶詰など、後方は調味料と明確にゾーン分けされている。

 米は「福岡県産米を食べよう‼」と打ち出し、福岡県産の「夢つくし10kg」(2980円)を提供。即席袋麺では、九州では絶対的な支持がある「ハウス食品・うまかっちゃん5袋」(299円 ※1人2点の限定販売)を3品目展開する。

 後方の調味料では、みそ、しょうゆ、だし、ポン酢などにおいて「フンドーキン」「ニビシ」「チョーコー」「フジジン」といった地元メーカー商品を優先的に扱っているようだ。新たなオリジナルブランド「スカイリーフ」のパスタやオイルの扱いもあった。

 販促ではオリジナルの「純正ごま油400g」(399円)を大きく展開する。ロピアは単品販促を基本としており、オリジナル商品を徹底的に売り込む姿勢が明確だ。価格では、「キユーピー・マヨネーズ450g」(259円)、「日清食品・カップヌードル」(139円)、「ハウス食品・バーモントカレー230g」(159円)などを価格訴求していた。後述する競合店「ルミエール筑紫野店」では、「ハウス食品・バーモントカレー230g」が249円(本体価格換算、以下同)、「キユーピー・マヨネーズ450ℊ」が276円、「日清食品・カップヌードル」が181円と、一般的なスーパーマーケットと比較するとかなり安いが、ロピアには対応できていない。

 飲料と酒類は一体化させており、オーソドックスな商品構成となっており。「伊藤園・お~いお茶2ℓ」(129円)、「アサヒビール・スーパードライ350ml×6」(968円)、「サントリー・角700ml」(1440円)などが安く、いずれもよく売れていた。

グループ会社のユーラスがフランスから直輸入している炭酸入りレッドグレープジュース「エスペランス」。果汁100%でワインのように見える

菓子は「ロピタくん」で売場演出

 菓子は売場スペース構成比8%と北九州店より1%低いが、商品構成はほぼ同じであるようだ。前方にスナック、珍味、ドライフルーツを並べ、後方に米菓、菓子大袋、チョコレートを配置する。

 後方の玩具菓子コーナーでは、ロピアのオリジナルキャラクターである「ロピタくん」の「ごろごろ」「えっへん」「あわてんぼう」など5体の絵が床いっぱいに描かれており、「ロピアを探せ」というフレーズで絵を探す仕掛けがされている。調査中、子供たちは絵の上でたわむれる姿を見かけるなど、既存店でもおなじみに「天井を走る機関車」ととともに、「楽しさ」が売場内で演出されている。

 スナックコーナー(6尺)では「ポテチってこんなに種類あるの」というキャッチを付けて佐賀県の「東津商店。佐賀のたまねぎポテトチップス120g」(399円)、「マルシン・土佐の塩ポテトチップ120g」(319円)など36品目を販売していた。

菓子売場は売場全体の8%を占める。写真は「柿の種(6パック入り)

 筑紫野店では、売場や商品構成がより標準化され、利益志向が強まっている印象だ。商圏、競合店、人口などを考慮すると、都市型の店舗とは違って週末来店型であるため、ロピアからすると条件が厳しいと判断し、標準スタイルを選択したのであろう。

 23年6月に九州1号店として開店した「博多ヨドバシ店」(福岡県博多市)、同8月に開いた「福岡新宮店」(同)と比較すると、北九州店、筑紫野店は標準スタイルであり、商品構成は慎重であるように筆者は感じた。ただ「攻める」というだけでなく、状況に応じて「堅実さ」を選択できるのもロピアの強みだ。

今後も手ごわい九州のチェーン

  ただ、ロピア進出に地場チェーンも手をこまねいているわけではない。

 筑紫野店周辺の競合店に目を向けると、最大の競合とみられる「ルミエール筑紫野店」は、開店時間の9時から間もない9時30分には平場駐車場がほぼ満車状況で、入口付近に設置した「筑紫野近郊産直野菜」(約60坪歩測)コーナーには人だかりができきていた。総菜も10時頃にはほぼ揃い、「手作りかつ丼」「カツカレー」「からあげハンバーグ弁当」といった弁当を299円(税込)で販売していた。

競合店の「ルミエール筑紫野店」はロピアから直線距離で約400mの位置にある「筑紫野ベレッサ」1階に出店する大型店

 ルミエール筑紫野店は、生鮮のラインに緊張感があり、価格と品揃えはロピアを意識しながらも、ディスカウントスーパーというよりも一般的なスーパーマーケットに近い、独自のスタイルが構築されている。23年3月に実施した改装により、万全なロピア対策を整えたようだ。

 ロピアは福岡に進出してから約半年で4店舗を出店するなど、高度経済成長期をほうふつさせるような出店攻勢をかけている。「ロピアとの競合はまだ先だろう」と考えていた地場チェーンも、緊急対策を余儀なくされたことだろう。

 そうした中、「ルミエール」はロピアの進出を正面から受け止め、自社の強さを再確認し、弱点をいかに克服するかを見直した印象を受ける。生鮮ラインの強化、日配の価格訴求などはその一例だ。ロピアにとしても、ルミエールの「迎撃」は想定外だったのではないだろうか。 

 今後も九州では「イオン」や「トライアル」など大手チェーンとの競合も避けられず、競争はますます激化していくことだろう。

(店舗概要)
所在地 福岡県筑紫野市大字原田836-4
開店日 2023年11月22日
売場面積 約560坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 約1600台