強豪ルミエールと激突!「ロピア筑紫野シュロアモール店」の売場を解説

矢野清嗣
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菓子は「ロピタくん」で売場演出

 菓子は売場スペース構成比8%と北九州店より1%低いが、商品構成はほぼ同じであるようだ。前方にスナック、珍味、ドライフルーツを並べ、後方に米菓、菓子大袋、チョコレートを配置する。

 後方の玩具菓子コーナーでは、ロピアのオリジナルキャラクターである「ロピタくん」の「ごろごろ」「えっへん」「あわてんぼう」など5体の絵が床いっぱいに描かれており、「ロピアを探せ」というフレーズで絵を探す仕掛けがされている。調査中、子供たちは絵の上でたわむれる姿を見かけるなど、既存店でもおなじみに「天井を走る機関車」ととともに、「楽しさ」が売場内で演出されている。

 スナックコーナー(6尺)では「ポテチってこんなに種類あるの」というキャッチを付けて佐賀県の「東津商店。佐賀のたまねぎポテトチップス120g」(399円)、「マルシン・土佐の塩ポテトチップ120g」(319円)など36品目を販売していた。

菓子売場は売場全体の8%を占める。写真は「柿の種(6パック入り)

 筑紫野店では、売場や商品構成がより標準化され、利益志向が強まっている印象だ。商圏、競合店、人口などを考慮すると、都市型の店舗とは違って週末来店型であるため、ロピアからすると条件が厳しいと判断し、標準スタイルを選択したのであろう。

 23年6月に九州1号店として開店した「博多ヨドバシ店」(福岡県博多市)、同8月に開いた「福岡新宮店」(同)と比較すると、北九州店、筑紫野店は標準スタイルであり、商品構成は慎重であるように筆者は感じた。ただ「攻める」というだけでなく、状況に応じて「堅実さ」を選択できるのもロピアの強みだ。

今後も手ごわい九州のチェーン

  ただ、ロピア進出に地場チェーンも手をこまねいているわけではない。

 筑紫野店周辺の競合店に目を向けると、最大の競合とみられる「ルミエール筑紫野店」は、開店時間の9時から間もない9時30分には平場駐車場がほぼ満車状況で、入口付近に設置した「筑紫野近郊産直野菜」(約60坪歩測)コーナーには人だかりができきていた。総菜も10時頃にはほぼ揃い、「手作りかつ丼」「カツカレー」「からあげハンバーグ弁当」といった弁当を299円(税込)で販売していた。

競合店の「ルミエール筑紫野店」はロピアから直線距離で約400mの位置にある「筑紫野ベレッサ」1階に出店する大型店

 ルミエール筑紫野店は、生鮮のラインに緊張感があり、価格と品揃えはロピアを意識しながらも、ディスカウントスーパーというよりも一般的なスーパーマーケットに近い、独自のスタイルが構築されている。23年3月に実施した改装により、万全なロピア対策を整えたようだ。

 ロピアは福岡に進出してから約半年で4店舗を出店するなど、高度経済成長期をほうふつさせるような出店攻勢をかけている。「ロピアとの競合はまだ先だろう」と考えていた地場チェーンも、緊急対策を余儀なくされたことだろう。

 そうした中、「ルミエール」はロピアの進出を正面から受け止め、自社の強さを再確認し、弱点をいかに克服するかを見直した印象を受ける。生鮮ラインの強化、日配の価格訴求などはその一例だ。ロピアにとしても、ルミエールの「迎撃」は想定外だったのではないだろうか。 

 今後も九州では「イオン」や「トライアル」など大手チェーンとの競合も避けられず、競争はますます激化していくことだろう。

(店舗概要)
所在地 福岡県筑紫野市大字原田836-4
開店日 2023年11月22日
売場面積 約560坪(歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 約1600台

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