開店直後から大行列! 愛媛のローカルスーパーが送り出す、起死回生の看板商品とは?
一番人気のフルーツサンド
多くの商品があるため、どれを選べばよいか迷った。商品を補充していた女性スタッフに質問すると、「一番人気はコレです」と教えてくれたのが「八百屋のフルーツミックス」(税抜き480円)。みかん、パイナップル、いちご、キウイのほか、季節の果物としていちじくもサンドされている。
もうひとつ、自分で選んだのは2種類のぶどうを挟んだ「シャインマスカット・ナガノパープル」(同580円)。見た目にもかわいらしく、写真映えするのではと考えた。
朝食を抜いてきたので、さらに奥の売場も歩く。総菜にも力を入れているようで、「どんむす」というユニークな商品も発見した。手書きPOPを読むと、丼の具のようなおかずを、おにぎりに乗せたもののようだ。一通り悩んだ後、珍しい「ヤンニョムチーキン」(同298円)に決めた。
店の軒先にあるベンチに腰掛け、実食する。
最初は、ごはんものの「どんむす」から。骨なしチキンに甘辛い韓国辛味噌をかけ、さらにまろやかさを出すためクリームチーズを添えてある。チキンとチーズなので、商品名は“チーキン”。遊び心があるよな。食べたけど、コレ、おいしかった。
次に、メーンのフルーツサンドをいただく。一番売れるというフルーツサンドから頬張ったけど、いやぁ、ボリュームがありますよ。奥にまでフルーツが詰めてあり、お!と思った。よくある、見えているところだけに具を挟んである、“なんちゃってサンド”ではないのだ。
続いてもう1つの方。しっかりとした歯応え、爽やかな甘みのぶどうが入っており、新鮮なフルーツを使っていることがわかる。あぁ、これもウマイわ!大満足である。
感心したのは、おいしさの追求だけでなく、ブランディングにも取り組んでいる点だ。
サンドの包材には、「スエヒロ」の文字を格好よくデザインしたマークがプリントしてある。まだ、レジでは「ご希望なら、無料で紙袋をおつけしますが、いかがしますか」と聞かれた。「お願いします」と伝えると、さきほどのマークをあしらった、かわいらしい紙袋に入れてくれた。きっと贈答需要も取り込もうとしているのだ。なかなか戦略的だ。
これらの商品により、店は激変したに違いないと想像する。客層だけでなく商圏、そして店づくりそのものも。
記事執筆にあたり、Googleストリートビューで、フルーツサンドを販売する以前の様子も確認してみた。すると店頭には、野菜やティッシュペーパーを積み上げ、黄色地に赤文字のプライスカードを掲げて低価格を打ち出す様子を確認できた。やはり新商品により、店は大変身を遂げることに成功したのだろう。
大手を中心とする合従連衡、競争激化が進む小売業界。しかし、やり方によっては、たとえ小さい店でも現状を打破できると感じた日だった。