生鮮強化型の商業施設中核店舗 「バロー稲沢平和店」の売場を徹底分析

取材・文:植芝 千景 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

スーパーマーケットバロー稲沢平和店外観

スーパーマーケットバロー稲沢平和店

〒490-1303 愛知県稲沢市平和町上三宅上屋敷1-3
電話:0567-69-7751
名古屋鉄道尾西線「丸渕」駅からクルマで5分

見どころ

▶HCやペット専門店などを併設し、広域からの集客を見込む
▶30尺の対面販売スペースを設けた鮮魚売場
▶生鮮3品は「当日仕入れ・当日売り切り」

 バロー(岐阜県/森克幸社長)は2025年4月25日、愛知県稲沢市に「スーパーマーケットバロー稲沢平和店」(以下、稲沢平和店)をオープンした。

 同店は、「ホームセンターバロー メガストア稲沢平和店」と同一敷地内に出店。敷地内にはマグロ専門レストラン、いちご農園、ペット専門店、ガソリンスタンドなども併設されており、広域からの集客を見込む一大商業施設となっている。店舗は交通量の多い国道155号近くに立地。周辺エリアがクルマ社会であることを踏まえ、約60万人が居住する10㎞圏を商圏として見込む。

 稲沢平和店の売場面積は約400坪と、バローの標準店舗(約600~800坪)に比べて小型である。それでも、1坪当たりの年商は、同社店舗の中でもきわめて高い水準を記録している。同店は生鮮特化型フォーマットを採用しており、部門別の売上高構成比は、鮮魚が3割弱、青果は2割強にまでのぼる。限られた売場面積を高回転・高単価の商材の販売に集中させることで、高い坪効率を実現している。

 売場に目を向けると、入口正面の青果売場では、季節商材を広く陳列するほか、自社製造のプリンやパンナコッタなどフルーツをふんだんに使用した高付加価値スイーツを展開し、集客装置としている。

 鮮魚売場では30尺の対面販売スペースを設け、丸魚の調理を目の前で行い、ライブ感を演出。丸魚だけでなく、水槽を設置し、活貝類を販売しているのも特徴だ。

 精肉売場ではアウトパック商品を主力とし、店内加工はローストビーフなど一部商品にとどめている。その分、鮮魚部門に人員を割くなど、人員配置にメリハリをつけた。

 鮮魚・青果・精肉各部門は、いずれも「当日仕入れ・当日売り切り」を基本とし、17時以降は段階的に値下げを実施。19時の閉店までに在庫を残さず売り切ることを徹底している。

 総菜売場では、鉄板で焼き上げる卵焼きや、一つひとつ手で成形するおはぎを目玉としている。こうした商品の焼き上がりや出来上がりのタイミングに、ハンドベルや店内放送で呼びかけ、顧客の購買意欲を高める演出を行っている。

伊藤智啓店長
伊藤智啓店長
「お客さまを飽きさせないように、日々“おもしろい”施策を仕掛け続けたい」

 一方で、

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取材・文

植芝 千景 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

同志社大学大学院文学研究科(国文学専攻)修士課程修了後、関西のグルメ雑誌編集部を経て、ダイヤモンド・リテイルメディアに入社。関西小売市場やDX領域を中心に取材・執筆を担当している。現在は大阪府在住。

まとまった休日には舞台・映画鑑賞を楽しむほか、那智勝浦へ弾丸旅行に出かけることも。世界各国の家庭料理を再現するのも趣味のひとつだが、料理に入れたスパイスで歯が欠けたので今は控えめに取り組んでいる。

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