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新宿の無印良品2店舗が同時改装! SDGs・ESGに特化した「MUJI新宿」をレポート

「無印良品」を運営する良品計画(東京都/堂前宣夫社長)は2021910日、東京都新宿区にある「MUJI新宿」「無印良品 新宿」の2店舗を同時にリニューアルオープンした。それぞれコンセプトを明確に分け、2店舗で新宿エリアの地域課題の解決に取り組む「個店経営」を実践する。本稿では、主に「MUJI新宿」での取り組みを中心に紹介する。

MUJI新宿

24時間利用可能な自販機

 今回の2店舗の改装は、248月期を最終年度とする良品計画の新たな中期経営計画にも盛り込まれている「個店経営」の実現の一環である。近年の消費者ニーズの変化や、ごみ問題などの社会課題、コロナ禍での人の減少、飲食店の閉店など新宿エリアの課題を解決するために無印良品として何ができるか、新宿区役所をはじめ「伊勢丹新宿店」などの小売企業や飲食店、新宿駅そばにある観光協会などとの話し合いを重ねたうえで、改装を実施した。

 「無印良品 新宿」では、新宿エリアの住民や通勤・通学で新宿に来る人の生活を支えるための基本的な商品の取り扱いに注力。改装では食品・日用品ともに大幅に品揃えを拡大したほか、新たな試みとして、店頭に24時間利用可能な自動販売機「MUJI POCKET」を設置した。

24時間利用可能な自動販売機「MUJI POCKET」

 一方、07年に衣服・雑貨に特化した店舗としてオープンした「MUJI新宿」は、今回の改装で開店当初のコンセプトを残しつつ、SDGsESGに注力し、環境や社会の課題について考えるきっかけを提供するほか、アート・デザインをテーマとした雑貨や家具に特化した旗艦店となった。

回収した衣料品の販売を大きく拡大

 「MUJI新宿」で最も注目したいのが、1階で展開する無印良品最大の「ReMUJI」コーナーである。「ReMUJI」とは良品計画が10年から取り組んでいるプロジェクトで、お客が長年使用した衣類を回収して再商品化するというものだ。回収した服を藍色や黒色などに染めた「染めなおした服」を、価格見直しでこれまでの12900円から1990円(以下税込)で販売するほか、これまで染色できなかった化学繊維製の衣服などもクリーニングを行い、「洗いなおした服」(1990円)を「MUJI新宿」限定で展開。さらに、ほつれや傷があって販売できなかった服もパッチワークなどで修理し、「つながる服」(3990円)として販売する。

回収した衣料品を再商品化する「ReMUJI」コーナー

 今回の改装を機に、都内の無印良品全店には衣類の回収ボックスが設置される。また、「MUJI新宿」では衣類だけでなく賞味期限が迫った食品や壊れた食器、読み終えた本などの回収も実施し、必要な人や場所に送るほか、修理やリサイクルを行い再商品化する。そのほか廃棄をできるだけ減らすため、傷や汚れがあることで販売できなかった食器や家具などを販売する「もったいない市」を「MUJI新宿」では常設で展開する。

 

フードロス削減メニューも

 「MUJI新宿」ではこのように資源の再利用や修理に取り組むほか、アート・デザインを通じた豊かな暮らしの提案にも注力する。オリジナル家具や国内外からセレクトした雑貨など、デザイン性の高い商品を取り扱う「IDÉE」の売場・品揃えを大きく拡大。「MUJI新宿」の改装前の「IDÉE」の売上高構成比は5%程度だったが、改装後はこれを10%に引き上げ、「IDÉE」単体で年商1億円の目標を掲げる。また、1階では、良品計画が回収した服を使用し、ファッション・服飾系の専門学校である文化服装学院の学生が制作したインスタレーションを展示している。

 また、「MUJI新宿」ではアテンドサービスを提供するほか、手話ができるスタッフを配置するなど、目や耳が不自由な人や車いすを使用している人にも快適に買物してもらえるような体制を整えている。そのほか、地下1階の飲食ゾーン「Café&Meal MUJI」では、フードロスを削減するため、鶏のから揚げをつくる際に余った鶏皮を混ぜ込んだサラダなどの新メニューも取り扱う。

「Café&Meal MUJI」では、フードロス削減を意識した新メニューも取り扱う

 「MUJI新宿」の永戸順也店長は、「近隣のお客さまをターゲットとする『無印良品 新宿』に対し、『MUJI新宿』は遠方から来店する方にも対応し、SDGsESGに特化しお客さまに情報発信することで、環境や社会について考える特別な経験をしていただきたい」と話す。今後はこの2店舗だけでなく、近隣の企業や飲食店などを巻き込んだイベントなども実施し、新宿エリアの課題解決のための取り組みを増やしていきたい考えだ。