イオンリテール(千葉県/井出武美社長)は6月8日、同社初の本格的なスマートストアと打ち出す「イオンスタイル川口」(埼玉県川口市)をグランドオープンする。具体的にどのような取り組みを行っているのか。そして、イオンリテールがめざすスマートストアとはどのようなものか、レポートする。
既存の安全カメラを「AIカメラ」に活用
イオンスタイル川口は、埼玉高速鉄道「鳩ヶ谷」駅から北西へ約1.8kmに立地する。1984年に「ジャスコ川口」として開業以来、約34年にわたって営業し、今回建て替えオープンした商業施設「イオンモール川口」の核店舗として入居している。
イオンスタイル川口は、イオンリテールが初の本格的なスマートストアと打ち出し、デジタルを活用したさまざまな施策を行っている店舗だ。20年6月にグランドオープンした「イオンスタイル有明」(東京都江東区)で実験的に行っていたデジタル施策に改良を加えて、本格導入させている。
現在、AIカメラやデジタルサイネージなどを活用したスマートストアの開発が各社で進んでいる。そうしたなかイオンリテールがスマートストア開発で追求しているのが「合理性」だ。イオンリテール執行役員システム企画本部長の山本実氏は「スマートストアといっても単にデジタル機器を導入するだけでは意味がない。デジタルとデータの活用によって、数値化された理にかなった方法で、快適な買物環境の提供や、売場づくりや従業員の働き方の改善をスピーディーに進めていきたい」と述べている。
こうした方針のもと、イオンリテールがイオンスタイル川口を機に、既存店への波及を進めていこうとしているのが、AIを活用した「AIカメラ」と「AIカカク」だ。
まず「AIカメラ」については、イオンリテールの特徴は、既存店でも採用している防犯向けの「安全カメラ」を「AIカメラ」として活用している点だ。その映像情報を、店舗ごとに新たに設置するAI搭載の映像解析マシンによってリアルタイムで解析するいう形式をとっている。
イオンスタイル川口ではこのAIカメラを、全3階のすべての直営フロアに計149台設置。たとえば1階の食品フロアの直営売場面積は3216㎡であるのに対し、設置台数は78台と、他社のスマートストアと比較して少ない。それでもこのAIカメラによってすべての来店客の行動をとらえ、性別、年代まで識別することができるという。「AI による画像解析の精度が高いため1台でカバーできる範囲が広く、AIカメラの設置台数が少なくて済む」(同社広報)そうで、多数のカメラに監視されている感じを受けない印象だ。
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