店づくりは「原則」を外さない! 「ベルク野田山崎店」売場レポート
ベルク(埼玉県/原島一誠社長)は千葉県野田市に「ベルク野田山崎店」を今年2月7日にオープンした。前編では生鮮4部門の売場を解説、後編は日配・加工食品などの売場を順番に見ていこう。
調査日=2024年3月30日、4月1日、13日 ※本文中の価格はすべて本体価格
洋日配で利益、和日配で売上を取る
ベルクは日配に力を入れており、売場スペース構成比では22%と加工食品に匹敵する広さで売場を展開する。チルド飲料、冷凍食品、アイスクリーム」は売場中央に配置。乳製品・ピザは正面の壁面で30尺を構える。スイーツはエンド8尺、パンは独立させたゾーンで販売する。
和日配は左壁面33尺。水物、漬物、油揚げ、豆腐、納豆を展開。平場の冷蔵ケース33尺では麺、佃煮、豆、総菜を置く。
冷凍食品はリーチイン什器でスイーツ、フルーツ、弁当素材、冷凍野菜を売れ筋商品とオリジナル商品に絞って展開している。平台什器では前方72尺でうどん麺、中華そば(39品目)、パスタ・ドリア(42品目)を販売。後方は米飯、ギョーザ、唐揚げ、アイスクリーム個食を配置。冷凍食品は平台に力を入れている。
プレーンヨーグルトは25品目を扱い、売れ筋の「明治・ブルガリアヨーグルト400g」(同149円)、「森永乳業・ビヒダスYG400g」(同139円)、「雪印メグミルク・ナチュレ恵400g」(同139円)を置いている。価格訴求はオリジナルの「プロバイオティクス400g」(同99円)を打ち出す。スイーツは重点商品をエンド8尺に45品目をコーナー展開する。
和日配では価格訴求のオリジナル商品をメインに販促を行う。「小粒納豆40g×3」(同65円)、「油揚げ5枚」(同75円)、「きぬ300g」(同35円)、麺は「ゆでうどん1食」(同59円)、「焼きそば3食」(同99円)などを揃え、これらの訴求商品がベルクの固定客獲得につながっている。
洋日配で「利益」を確保し、和日配で「売上」を取りに行く明確な方針を感じる。
加工食品・飲料売場はコーヒーに注目!
加工食品の売場スペース構成比は飲料を加えると25%。食品スーパーとしてはほぼ標準的なウエイトを占めている。
前方にカップ麺や乾麺を配置するほか、「日清食品・カップヌードルしょうゆ」(149円)、「サンヨー食品・サッポロ一番みそラーメン5袋」(399円)などを展開。また、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループのプライベードランド(PB)「トップバリュみそ5袋」(199円)などで価格訴求を行った。訴求品は「大国食品」「麺のスナオシ」などのメーカーで対応する。
後方では嗜好飲料が注目。飲料と連携し、コーヒーを3尺13本1レーンで展開している。内訳はインスタント15尺、レギュラーコーヒー24尺。レギュラーコーヒーは「UCC」「AGF」「KEYコーヒー」「ネスレ日本」などを柱に、オリジナルや「小川珈琲店」「益子珈琲」などこだわり商品を組み合わせている。総取扱アイテム数は約133品目だ。
調味料・乾物は売れ筋商品をベースにオリジナル商品を絡めている。「トップバリュ」は即席麺の扱いが目立つが、あくまで自主開発商品が基本であり、新製品はPOPでメッセージを送っている。
飲料も重点商品であり、大容量、小容量、コーヒー、野菜ジュースなど量感のある売場だ。オリジナル商品はケース売りの販促をかけている。「伊藤園・お~いお茶2ℓ」(同129円)、「サントリー・伊右衛門2ℓ」(同169円)、ベルクオリジナルの「緑茶2ℓ」(同99円)など定番を重視した販売だ。
酒はビール系飲料と缶チューハイが軸
酒類売場は店舗によって商品構成に違いはあるが、配置はほぼ統一されている。軸になるのはビール系飲料、缶チューハイで、コーナーを設けケース販売に重点を置いている。
ビール系飲料の新製品は積極的に扱う。調査日の価格は「アサヒビール・スーパードライ350mℓ×6缶」(同1019円)、「サントリー・金麦350mℓ×6缶」(同749円)。
ワインは国産と輸入ワインを分離させ、9尺で輸入ワイン赤101品目、9尺でロゼ、白、ミニボトル103品目を産地別に陳列していた。直輸入商品には商品説明が付いており、ポルトガルの「緑のワイン750mℓ」(同499円)をはじめ、フランス、イタリア、オーストラリア、チリなどから輸入されたワインを値頃な価格で販売している。ワインの品揃えには自信を持っているようだ。
焼酎、日本酒、ウイスキーなどは売れ筋商品で固める。「トップバリュ」はウイスキー、缶チューハイ、ビール系飲料で扱い、前方で目立つ位置に買いやすく配置している。一方でビール系飲料、缶チューハイは新製品を積極的に売り込む。
菓子売場はオーソドックスで堅実
菓子の売場スペース構成比は9%であり、酒類とほぼ同じ。売場は前方の6レーンで展開し、冷凍食品を間に挟んでいる。商品分類はオーソドックスで商品構成も堅実である。
キッズ向けの商品は箱に入れるなど、陳列を工夫している。扱うカテゴリーは、おもちゃ菓子、駄菓子、ポケット菓子、プチ菓子、グミ、ガムという順番でつなげる。グミは農協の地域別、輸入品、ハードグミ、ソフトグミ、大容量、バラエティと6カテゴリーを表示している。メーカーごとにわかりやすく分類しており、買いやすい。
大袋は12尺7段で39品目に絞り、「不二家・カントリーマアム バニラ&ココア」(同259円)、「ロッテ・パイの実」(同299円)。「明治・ミルクチョコレート」(同199円)など売れ筋をベースに構成する。なお、「ロッテ・チョコパイ」の扱いはなかった。
半生菓子はパン売場で販売。オーソドックスな商品構成で“実”を取る姿勢が伝わってくる。また、「カゴ台車」にはスナックなどの商品を大量に載せて販売するなど、利益を考えた構成になっている。
店づくりは原則通り、販促は店ごとに工夫
ベルクの最大の強みは「原則を外さないこと」だ。これは古い店でも新店でも同じである。ショッピングセンター「フォルテ」は別として、店舗規模も原則的に統一している。
販促スタイルは似通ってはいるが、店舗によって多少の違いがある。同社は店舗を主体にして、運営を変えられる権限を持たせているからだ。この店舗別販促が売場に個性が生み、お客の心を引き付ける源となっている。価格政策も店舗ごとの競合に合わせた設定だが、野田山崎店は売れ筋を安くしており、競合店対策ができている。
また同社のような大手スーパーが、売場で「かご台車」に商品を載せて大量陳列しているのは比較的に珍しい。ベルクの多くの店舗では、入口で10台前後のかご台車がお客を迎えてくれる。「広告」「スーパープライス」などのPOPを付けて、自信を持って販売している。
店内でも、レジの並びや米売場、日配のエンドなどで「かご台車」による販売が行われている。見た目より販促重視の“実”を取るMDである。お客もベルクのこのスタイルに抵抗感がなく、商品を購入している。
4月6日のチラシを見ると、A3サイズで全面に「おさかな弁当」として「サーモンの香り草フライ&ピラフ」(同499円)を掲載。全店で4月13日まで販売した。裏面には「これから始まる新生活への期待に胸を膨らませているお客様」向けに従業員一同のメッセージが書かれている。変わったチラシだが、インパクトがあり、思わず買物に行きたいと思わされる仕掛けといえる。
【店舗概要】
所在地 千葉県野田市山崎2237-1
開店日 2024年2月7日
売場面積 2205㎡
営業時間 9:00~24:00
駐車台数 185台
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