東武野田線沿いの激戦区に出店! 「ベルク野田山崎店」の売場を解説
ベルク(埼玉県/原島一誠社長)は千葉県野田市のロードサイドにあたる立地に「ベルク野田山崎店」(以下、野田山崎店)を今年2月7日にオープンした。出店したのは、同一商圏に食品スーパーが複数並ぶ競合が激しいエリア。同店はどのような売場づくりをしているのだろうか。
調査日=2024年3月30日、4月1日、13日 ※本文中の価格はすべて本体価格
食品スーパーの激戦地に出店
野田山崎店は東武野田線(東武アーバンパークライン)「梅郷」駅から徒歩10分の流山街道沿いにある。同店が入居する建物には美容室や歯科もテナントとして出店している。
野田市は千葉県の北西部に位置し江戸川、利根川の運河で栄え、キッコーマン(千葉県/中野祥三郎社長)が本社を構える城下町でもある。最近はつくばエクスプレスの開業でベットタウンとして発展し、人口は約14万人を数える。
ベルクは、ここ数年、東武野田線沿線に積極的に店舗を展開し、「フォルテ船橋店」(20年10月オープン)、「船橋藤原店」(24年1月オープン)をはじめ、鎌ケ谷市、柏市、流山市などで9店舗を運営している。今後も、同沿線での店舗展開を強化することが予想される。
競合店は流山街道沿いの「ジョイフーズ野田山崎店」、西へ約800m先にホームセンター「DCM」と並ぶ「いなげや野田みずき店」がある。24年7月31日までは「おっ母さん食品館梅郷駅前店」も営業し、その中心にベルクが出店するという激しい競合状況にあった。なお、「いなげや」は売場を改装し、6月28日に再オープンしている。
青果売場は量感があり、価格にめりはり
部門別に売場を見てみよう。売場レイアウトは野菜、精肉、鮮魚の生鮮ゾーンから、パンをつないで総菜、ベーカリーにつなげている。
青果売場は約60坪(歩測)。左右に冷蔵ケースを並べ、平台は6台を展開する。ベルクのチラシは日替わりでメイン商品を掲載している。調査を行った3月30日は「長ナス1個」(税抜59円)、「同2個」(同99円)、「長ネギ1束」(同139円)、31日は「キュウリ1本」(同59円)、「同2本」(同99円)、「ミニトマト1パック」(同139円)を打ち出していた。
売れ筋商品は「キャベツ1個」(同199円)、「レタス」(同199円)、「ホウレンソウ」(同129円)、「トマト1個」(同99円)、「モヤシ200g」(同18円)と、メリハリの利いた価格設定である。量感をベースにしながら価格訴求を絡めた。
精肉売場では豚肉と鶏肉を重視
精肉売場は正面壁面30尺で牛肉、壁面39尺で豚肉、鶏肉、平台2台で鶏肉、冷凍肉と機能的な配置。オーソドックスでバランスの取れたレイアウトになっている。
商品は、店内加工を基本に豚肉、鶏肉を重視。調査した週は、4月1日に「国産銘柄豚」のロース・肩ロース・ばらの各部位が100g当たり159円、3日間で「国産黒毛和牛」のロースと肩ロースステーキ用を同599円で販売。豚肉はカナダ産、メキシコ産、スペイン産の輸入豚をベースに、国産豚は北海道「北の四元豚」で対応。鶏肉は「メガ盛り」をベースに、国産「若鳥むね肉650g」(同599円)などを販売している。
平台では、精肉・鮮魚の総菜を展開する。九州産「赤鶏骨付きもも焼き1本」(同499円)、「フライトチキンフィレ2個」(同199円)、「鶏のぼんじり焼き」(100g同179円)などバラエティに富んだ商品を揃えた。お客の反応もよく、ベルクの名物とも言える売場となっている。
鮮魚は幅広い品揃えで勝負する
ベルクは鮮魚には自信があるようで、スペースを取り商品構成も幅を持たせている。正面壁面66尺では寿司と練り物を展開する。平台4台では総菜や冷凍魚などを展開している。
チラシでも青果売場と同様に、日替わり目玉商品を提供。調査日の日替わり商品はインドネシア産「無頭バナメイエビ(養殖・解凍)」(100g当たり同159円)だった。
マグロ、刺し身、すしでは台湾産「大メバチマグロ赤身(解凍)」(同398円)、スペイン産「本マグロ中トロ(解凍)」(同980円)に「おさしみ多幸盛(4点)」(同999円)、「5種の刺し身」(同500円)、「握りずし華(16貫)」(同1599円)、「同9貫」(同999円)を販売。
丸物は「金目ダイ1尾」(同999円)、「真イワシ1尾」(同59円)、「真アジ1尾」(同139円)、切り身は「ブリ」(100g同299円)。
平台の魚総菜ではチリ産「銀ザケ塩焼き」(同299円)、「稚内の真ホッケ焼き」(同299円)を展開。平台エンドは広告商品で冷凍魚を軸に構成。「減塩サバみそ煮」(同599円)、「エビフライ」「カキフライ」「塩サバ3枚」(同500円)、山安の干物などバラエティに富んでいる。
外注商品を巧みに取り入れる総菜売場
ベルクは総菜を重視しており、店内加工とアウトバックがあるが、とくにアウトバックの扱いはほかのチェーンには真似できないものとなっている。
売場では、ベーカリーの横に15尺で寿司を配置。総菜部門による寿司は目玉商品で「八種類の具材の海鮮丼」(同390円)、「たっぷり12貫握りずし楽」(同699円)、「華2人前」(同1689円)などがある。
壁面は約68尺で、手前の6尺では自社推薦の「ローストビーフの握り5貫」(同399円)、「同16貫」(同1590円)を販売。41尺で温総菜の中華、焼そば、フライ、天ぷら、焼き鳥の売れ筋商品を展開している。主な商品は「ギョーザ5個」(同257円)、「エビチリソース」(同398円)、「三元豚のヒレカツ」(同399円)、「梅エビのクリームコロッケ3個」(同299円)、「カキフライ4個」(同279円)、「大分名物とり元」(100g同219円)、「エビ天1個」(同169円)、「焼き鳥1本」(同88円)など幅広い。
次の24尺では外注商品と自社製造のフレシュサラダ、ポテトサラダ、和総菜を配置。系列のホームデリカ(埼玉県/原島一誠社長)が製造する「マカロニサラダ」「ポテトサラダ」などをメインに販売している。
平台は前方で手づくりピザ「照り焼きチキンピザ」「マルゲリータ」(各品同599円)、「同ハーフ」(同299円)を販売。手前の右側は自社製「ベルクのプリン」(同100円)、「いちごプリン」(同129円)、「コーヒーゼリー」(同199円)といったデザート、左側はおはぎや今川焼などの和菓子を展開している。
後方の平台では、弁当やおにぎりを店内加工とアウトバックそれぞれ揃えている。主要な商品は店内加工で提供しており、「大粒唐揚げ弁当」「チキンカツ弁当」「とり重」「ロースカツ重」(すべて同399円)、「キャベツの回鍋肉丼」(同499円)、「天然サケ幕ノ内弁当」(同599円)などをラインナップする。おにぎりホームデリカの商品がメインで、「サケ」「明太子」(各品同99円)、「あぶりタラコ」(同139円)など13品目で構成していた。
平場の冷蔵ケースは24尺。麺や中華そば、パスタ、カレー、チャーハンなど外注の同399円の商品を軸に55品目を扱う。これらの商品は売れていて、弁当の品揃えに幅ができている。ベルクの総菜は店内加工、自社工場、外注商品をバランスよく取り入れている。店内製造の限界を考慮し、外注商品を巧みに取り入れている。
後編では日配・加工食品などの売場を見ていきたい。
【店舗概要】
所在地 千葉県野田市山崎2237-1
開店日 2024年2月7日
売場面積 2205㎡
営業時間 9:00~24:00
駐車台数 185台
Dr.矢野の売場診断! の新着記事
-
2024/12/12
店づくりは「原則」を外さない! 「ベルク野田山崎店」売場レポート -
2024/12/06
東武野田線沿いの激戦区に出店! 「ベルク野田山崎店」の売場を解説 -
2024/11/20
今後の新規出店のモデルとなるか? 「ロピア北加賀屋店」売場レポート -
2024/11/07
生鮮売場を確保する巧みなレイアウトに注目! 「ロピア千種店」の売場を徹底解説 -
2024/10/24
名古屋市の都心部に出店! 「ロピア千種店」売場レポート -
2024/10/18
関西初の「ロピアモール」として出店! 「ロピア北加賀屋店」の売場を解説
この連載の一覧はこちら [91記事]
ベルクの記事ランキング
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-12-06東武野田線沿いの激戦区に出店! 「ベルク野田山崎店」の売場を解説
- 2024-10-23週刊スーパーマーケットニュース ベルク上期決算増収減益も通期では増収2ケタ増益見込む
- 2023-09-18ベルクの新フォーマット、「クルべ」徹底分析!他のディスカウントSM との決定的な違いとは
- 2024-09-14関東の小売業都県別売上ランキング2024 オーケー、ベルクが2ケタ増収!
- 2022-05-27ベルクの総菜戦略を徹底解説!コロナ禍でも「バラ販売」を継続する理由とは
- 2022-07-15イオン閉店で“一人勝ち”状態に!? 新装「ベルク ベスタ東鷲宮店」の売場を解説
- 2024-02-26ヤオコー、サミット、ベルク、マミーの総菜調査で判明!3つの新潮流とは
- 2021-05-27週刊スーパーマーケットニュース ベルク、レシピ提案で「DELISH KITCHEN」と本格提携
- 2021-06-28レシートは語る第4回ベルク なぜ客数を伸ばし続けられるのか、その理由が明らかに!
関連記事ランキング
- 2024-11-20今後の新規出店のモデルとなるか? 「ロピア北加賀屋店」売場レポート
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-10-18関西初の「ロピアモール」として出店! 「ロピア北加賀屋店」の売場を解説
- 2024-12-06東武野田線沿いの激戦区に出店! 「ベルク野田山崎店」の売場を解説
- 2024-11-07生鮮売場を確保する巧みなレイアウトに注目! 「ロピア千種店」の売場を徹底解説
- 2024-09-26三重県に進出!新シリーズ商品並ぶ「ロピア桑名サンシティ店」の生鮮売場を解説
- 2019-11-07強豪ひしめく首都圏で確かな存在感! 「スーパーベルクス」の実力
- 2024-10-23週刊スーパーマーケットニュース ベルク上期決算増収減益も通期では増収2ケタ増益見込む
- 2020-06-08圧倒的安さ!「ロピア吹上店」の売場に見る“ロピアの真髄”
- 2024-07-31ロピアと近接!熾烈な価格競争を展開するフーコット5号店「三芳店」売場レポート