アパレル特化の無印良品「新宿靖国通り店」、紳士服の売上がとくに伸びた理由とは
高単価ラインの「MUJI Labo」商品も伸長
改装による絶大な効果は、売上高にも反映されている。大栗氏によると、同店の売上高は前年、前々年と比較しても増加傾向にあり、客単価は「全国で1、2位を争うほど」(大栗氏)となっている。比較的高単価ラインのMUJI Labo(ムジラボ)商品の売上も伸長しており、「全体の売上上位に入ってくる規模」という。
その中でも特に伸びている商品群が、紳士ウェアだ。「他店と比較して、圧倒的に紳士ウェアの構成比が高い」(大栗氏)。要因としては、改装により入口が広がり、明るい雰囲気の店舗に男性客が入りやすくなったことが挙げられる。
加えて、「女性のお客さまも紳士ウェアを購入されている」と、大栗氏。「ユニセックスを打ち出しているわけではないが、シンプルなデザインで性別を選ばず着ていただける服が多い」という。店内を見渡すと確かに、オーバーサイズで紳士ウェアを着こなす女性スタッフが目に入る。1階で展開するマネキンのスタイリングも奏功しているようだ。
同店では、全社から公募で集った5人のVMD専属チームが中心となり、店内ディスプレイやマネキンのスタイリングを担当。「レイヤードスタイルにしてみたり、頭にマフラーを巻いたりと、見て楽しめるスタイリング」(大栗氏)を展開している。
ではなぜ、「無印良品 新宿靖国通り」では衣料に特化した店づくりを行ったのか。その理由のひとつが、若年層へのブランド訴求だ。大栗氏は、「実際に若い層のお客さまの構成比が、他店と比べてずば抜けて高い」と、手応えを語る。
一方、同店の特色のひとつであるスタイリングサービスでは、社会人1年目で「仕事にもカジュアルにも使える服」を求める人から、親子で相談に来る人、男性1人で「自分に似合う服」を求めて訪れる人まで、幅広い層を惹きつけている。通常よりも広めのフィッティングルームでスタッフがお客の相談にのりながら、1人ひとりに合ったコーディネートを見つけていく同サービス。現状は店頭での直接受付のみだが、「それでも毎週コンスタントに申し込みがある」(大栗氏)という。
「こうしたサービスを求めておられるお客さまはたくさんいらっしゃる。楽しみながら利用いただいており、先日は全身コーディネートを2セット購入された方もいた」(大栗氏)。受付システムの稼働も予定しており、さらなる広がりが期待できるサービスといえる。
「無印良品 新宿靖国通り」では今後、接客力をさらに強化したい考えだ。大栗氏は、「セルフレジ導入で省力化できた分、接客にあたるスタッフを増やしていきたい。コーディネート提案や外国語対応など、スタッフの接客スキルアップが目下最大の課題だ。改装前に比べて外国人のお客さまが非常に増えている。インバウンド対応も強化したい」と、意欲を語った。