アパレル特化の無印良品「新宿靖国通り店」、紳士服の売上がとくに伸びた理由とは
東京・新宿にある「MUJI新宿」「無印良品新宿」の2店舗をリニューアルオープンした良品計画(東京都/堂前宣夫社長)。2023年10月には「MUJI新宿」を「無印良品 新宿靖国通り」に改め、同社初の衣料品特化店舗へと刷新した。前回のリニューアルからわずか2年という短期間での大胆改装の理由とは? リニューアルの背景と改装のポイントについて、営業本部新宿事業部長の大栗麻理子氏に聞いた。
※取材は2023年12月に実施
「服がいちばん良く見える環境」を追求
「無印良品 新宿靖国通り」のリニューアルオープンに先立つ2023年9月15日、同店から徒歩3分の新宿通り沿いに位置する「無印良品 新宿通り」がオープンした。同店は、生活雑貨と食品に特化した店舗。一方、「無印良品 新宿靖国通り」は、同社初の衣服特化店だ。
「MUJI新宿」でファンを集めていた衣服の染め直しやリメイク販売の「ReMUJI」、床材、壁材、什器などのリサイクル・リユースといったESGの取り組みは引き継ぎながら、今回の大改装では「服がいちばんよく見える環境を追求した」(営業本部 新宿事業部長 大栗麻理子氏)という。
4フロア構成の売場面積は368坪。改装前と比べてわずか5坪ほどの拡張ではあるものの、実際に店内に入ると以前より格段に広く感じられる。なぜなら、同店舗は「空間をつなげる」ことを意識して設計されているためだ。
「どれだけ壁を取り払えるか、いかに最大限空間を活用できるか。吹き抜けを作ったり天井を高くしたりと、考え抜いた。靖国通り沿いの入口は2倍に広さに拡張した。その結果、開放感が生まれただけでなく、通りから幅広い層のお客さまに入っていただけるようになった」(大栗氏)。
「服がいちばんよく見える環境」とはすなわち、「服を楽しめる環境」でもある。明るい照明、映像による効果を演出できるモニター、アートとグリーンを多用した店内装飾など、「五感に訴える」店づくりを追求している。フィッティングルームには、同店のためにブレンドされたオリジナルフレグランスを設置。BGMも季節に合わせて変化させるという。
衣服特化店ならではのVMD(ヴィジュアル・マーチャンダイジング)にも力を入れた。
「取り扱いアイテムは他店とほぼ同じだが、見せ方を大胆に変えた。たとえば、1階では紳士ウェアと婦人ウェアを同じフロアで展開し、婦人のマネキンに紳士ウェアを着せたり、色で統一したコーディネートをディスプレイしたりしている。お客さまからは『こんな商品あったんだ』という声が多く寄せられていて、効果を感じている。見せ方を変えるだけでこんなに喜んでいただけることに、私たちも驚いた」(大栗氏)。