イケアが出店加速、2020年までに14店舗

取材・文:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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売上は13年8月期700億円超の見込み

イケア・ジャパン(千葉県/ミカエル・パルムクイスト社長)は、日本での出店を加速している。これまで出した6店舗の売上は順調で、来春以降は、全国各地で新店を計画する。物販だけでなく収納術や楽しい演出など、提案型の売場展開が日本市場で支持されている理由だ。

イケアのロゴ
写真はイケアのロゴ。昨年3月、仏サン=テルブランで撮影(2022年 ロイター/Stephane Mahe)

来春以降、出店計画続々

 スウェーデンで創業のイケアは現在、ヨーロッパ、北米、アジア、オセアニアなどの26カ国に300超の店舗を展開している。昨年度の全世界の売上は、約279億ユーロ(対前年比9.5%増)と順調に事業規模を拡大している。

 日本に進出したのは2006年4月。1号店は「イケア船橋」(千葉県船橋市)で、その後、06年9月「イケア北港」(神奈川県横浜市)、08年4月「イケア神戸」(兵庫県神戸市)、08年4月「イケア鶴浜」(大阪府大阪市)、08年8月「イケア新三郷」(埼玉県三郷市)、12年4月「イケア福岡新宮」(福岡県糟屋郡新宮町)と店舗網を広げてきた。

 これら6店舗への来店者は年間2000万人、会員カード「IKEA FAMILY」のホルダーは500万人にも上る。売上も順調で、イケア・ジャパンでは13年8月期末での年商予想を、700億円超で着地すると見込んでいる。

 さらに来年以降は全国各地で積極的な出店政策を推し進める。14年春には宮城県仙台市に「イケアあすと長町」(仮称)、14年秋は東京都へ初出店となる「IKEA立川」(立川市、仮称)をオープンする。また今年、広島県広島市に事業用地を取得したほか、愛知県でも新店を投入する方針。ほかにも国内各地で出店候補地を継続的に探しているという。

 「日本で事業を開始した当初、20年までに10~12店舗を出すのを目標としていたが、計画している店舗がオープンすれば、20年までには14店舗となる。売上規模も現在の約2倍に伸長すると予測している」(広報)。

 

「子どもと一緒の暮らし」

 日本で着実に人気を獲得するイケア。ビジネスの特徴は、「家が世界でいちばん大切な場所」というコンセプトのもと、デザイン性の高いオリジナル家具や雑貨、日用品などを低価格で提供している点にある。

 さらにユニークな売場も人気の理由だ。「ルームセット」と呼ぶ、実際の部屋を想定した空間には、テーブルやイス、収納棚などの商品を陳列。テーマを設定しながら収納のコツや、快適に生活するための家具の使い方を「提案」している。来店者はベッドに横たわったり、イスに座ったりすることもでき、「提案」に加え「体験」もイケア店舗の重要なキーワードとなっている。

 9月から始まる新年度では、「子どもと一緒の暮らし」をテーマに売場、商品展開を計画する。従来、同社では0~7歳を「子ども」としてきたが、来期からは8~12歳の年齢層を加え、新しい商品や雑貨など100アイテムを発売する。

 7月31日の取材時、「イケア神戸」では「8歳の男の子、4歳の女の子がいる4人家族」などの設定で、家具や収納術などを提案していた。家族連れも多く、引き出しを開けたり、キッチンに立ったりする来店客の姿が見られた。

 また新年度は、人気商品の値下げも実施する。13年度は500品目の値段を見直したが、今回はさらに300品目を対象に新価格で提供する。値下げ率は、商品によっても異なるが5~30%引きを計画している。

 このほか昨年、リリースしたスマートフォン向けアプリの機能を進化させる。データをダウンロードすれば、すべての商品を見ることができるようにするほか、お買い得情報なども提供していく計画という。

 同社広報担当者は「今後も売場、商品、サービスを充実させ、暮らしを快適に過ごすためのお手伝いをしていきたい」と話している。

取材・文

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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