開業時の売上2倍が射程に!「ホーチミン髙島屋」躍進の秘密とは

文:佐野佳代子
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専属デザイナーを起用した店内装飾で認知度アップ

七夕のディスプレイ
反響の大きかった七夕のディスプレイ

 もともと親日国として知られるベトナムでは日本的スタイルの受けがいい。ホーチミン髙島屋でもオープン以来、人気なのがデパ地下だ。「日本的なものの打ち出しが一番しやすいのが食料品。地下2階のデパ地下は日系百貨店の象徴的なフロアになっている」(福岡社長)

 日本の百貨店ではお馴染みの、ワンフロアに多彩なブランドを集約させた化粧品売場も主力の一つ。ブランドを横断して選べるワンストップ型の店舗環境は、ベトナムにこれまでなかった体験価値を提供した。同様に、キッズ・ベビーのゾーンについても「関連商品がすべて揃うトイザらスのような役割を髙島屋が担っている」と福岡社長は分析する。

  一方で、ベトナム独自の売場づくりにも注力している。その一つが店内装飾、ディスプレイだ。着任して福岡社長が驚いたのは、ベトナム人が非常に「写真好き」であることだった。アイコニックなディスプレイを作ると撮影する人々でごった返し、SNSに次々とアップされる。

 そこで、髙島屋グループ内でも珍しいというディスプレイ専属の社内デザイナーを起用。エントランスやウインドウのほか、フロアごとにポイントとなるデコレーションを仕掛け始めた。予算も多く投入し、ベトナム人デザイナーの感性を生かした店内装飾は、ホーチミン髙島屋の認知度を押し上げ、売上増に確実に貢献している。ただ、「根底にあるのは、ディスプレイをフックに人が集まる場を提供したいという思い」だと福岡社長は力を込める。

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