開業時の売上2倍が射程に!「ホーチミン髙島屋」躍進の秘密とは

文:佐野佳代子
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売上100億円も視野に

ホーチミン高島屋社長
福岡収社長

 順調に売上を伸ばし続けるホーチミン髙島屋だが、次なる目標はどこに置いているのだろうか。「将来的に100億円というのは視野に入れている」と福岡社長。そのための戦略として、今後拡充可能な2つの市場を挙げる。

 一つは化粧品だ。「2023年末に地下鉄が開通予定なので、現在バイク通勤が中心のホーチミンの女性たちが電車を利用するようになる。化粧品のニーズは間違いなくアップするだろう」(福岡社長)。これは、シンガポールでMRT(地下鉄)が開通した時にも起きた現象で、雨や風でメイクが乱れる心配がなくなり、市場は大きく拡大した。

 もう一つ、期待を寄せるのがゴルフだ。国の発展とともに、スポーツやレジャー市場は広がるものだが、ベトナムではこのところ富裕層の関心がテニスからゴルフにシフトし始めているという。「市場規模で見ると、テニスよりゴルフの方がはるかに大きい。すでにウエア関連は既存ブランドがゴルフラインを拡充していて、売上も伸びている。今後はギアの売場をしっかりと作っていきたい」(同)

 平均年齢31歳、2022年1月〜6月の実質GDP成長率は6.42%を記録し、人びとの希望にあふれる国、ベトナム。所得は上昇し続けており、ターゲットである30代・40代富裕層の増加が見込めるのも、ホーチミン髙島屋の強みだ。

 その追い風にいかに乗っていくか、福岡社長の答えには淀みがない。「ターゲットの支持を得るために常に変化し続けること。百貨店として培ってきた編集力で、アイテムやカテゴリーの拡縮やブランドの入れ替えを繰り返していくこと。それには、売上の数字だけにとらわれず、お客さまの反応を見ながらニーズと最もマッチしたところで商品をどう揃えられるかが大切」。当分、ホーチミン髙島屋の快進撃から目が離せそうにない。

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