ロピア(神奈川県/高木勇輔代表)の中部地区1号店となる「ロピアモレラ岐阜店」(岐阜県本巣市:以下、モレラ岐阜店)が5月26日にオープンした。関西地区において怒涛の出店で店舗網を築きつつあるロピア。次のターゲットとなる中部地区の店舗ではどのような店づくりをしているのだろうか。
調査日:6月27~28日 ※本文中の価格はすべて本体価格
バローの撤退跡に出店!
ロピアが5月26日にオープンしたモレラ岐阜店は、樽見鉄道樽見線「モレラ岐阜」駅からすぐの場所にある商業施設「モレラ岐阜」内にある。
モレラ岐阜は、敷地面積18万5000㎡、駐車台数約5000台、約240店のテナントが入る地域では最大級のショッピングセンターとなる。その中核店舗だった、「スーパーマーケットバローモレラ店」が2022年2月に撤退。ロピアがその退店跡に出店した。
ロピアの店舗は単独店のほか、商業施設内への居抜き出店、ホームセンター内への出店、「ららぽーと」のような大型ショッピングセンター(SC)内への出店なども多く、出店形態は実に多様だ。
その中でもとくに大型SCへの出店は、「SC全体の中でロピアがどのような役割を担うか」という使命感があるのか、ほかの立地の店舗とは売場の雰囲気が少し異なる印象だ。大型SCには総じて「買物を楽しむ」という雰囲気があり、ロピアもそれに対応したオーソドックスで堅実な売場づくりであることが多いように感じる。
回遊性を高めた売場配置
売場を見ていこう。売場配置は青果、鮮魚、精肉からなる“生鮮ゾーン”に総菜売場を連動させたロピアでは標準のスタイルで、青果、鮮魚売場は既存店でよく見られるワインウエイ方式を採用していないため、回遊性があり、お客はゆったりと買物を楽しんでいる様子だ。
正面壁面には、乳製品と和日配、生鮮ゾーンと反対側のサイドにはチルド飲料を配置しており、来店客は流れるように買物をしていた。冷凍食品・アイスクリームも従来のスタイルで、売場中央のゴンドラゾーンでは、店舗正面から見て前方に菓子と韓国食材、飲料、酒類など、後方に調味料をはじめ加工食品を配置する。全体で見ると、加工食品と菓子の売場を縮小しているように見受けられた。
部門別に売場を見ていくと、生鮮3部門からなる生鮮ゾーンの売場面積は約190坪(歩測)で、総菜売場は約30坪(同)。通路幅を広く取っているため、回遊性があり機能的な配置となっている。
青果は「量感」と「価格訴求」が魅力の売場となっており、調査日はレタス1玉、ほうれん草1束を100円、キャベツ1玉、大根1本を150円で販売。そのほかにもトマト8個を390円、キュウリ7本を200円と特価で提供していた。
「ポキ丼」を新たに導入!
鮮魚売場は壁面36尺のスペースで、丸物やマグロなどをコーナー展開する。新たに導入したのが対面式の「ポキ丼」(魚介と野菜を一緒に楽しむハワイ風海鮮丼)コーナーで、「フーリーポキ100g」(350円)、「ワンハンドサーモン巻」(390円)など8品目を販売する。平場では、既存店のおなじみの対面の寿司のバラ売りコーナーを設置。「本鮪赤身」(200円)、「本まぐろ」(250円)、「本まぐろ大トロ」(300円)など22品目をラインナップする。
精肉は右壁面36尺が牛肉、正面壁面42尺が牛肉、豚肉、ひき肉で、平場では加工肉、鶏肉、メガ盛をコーナー展開する。牛肉は「黒毛和牛」「みなもと牛」「輸入牛」のほか、「ブロック」「ステーキ」「焼肉」「スライス」とメニュー別に商品を陳列。豚肉は地元・岐阜県産の「恵邦山麓三浦豚」のほか、イベリコ豚などの銘豚と加古川センターから納入の三元豚で構成する。鶏肉は店内加工で、ロピアオリジナルの「鹿児島みなもと鳥」を揃える。
店舗奥側壁面の総菜売場は作業場が見える30尺のスペースでピザやチキン、米飯を販売。そのほか、「冷凍パン」「自家製ピザ」などの冷凍総菜を新たに導入していたのが目を引いた。
「京都ヨドバシ店」で好評のクラフトビールコーナーを設置
続いて加工食品売場。前述のとおり、品揃えは絞り込んでおり、カテゴリーごとにで扱いにメリハリをつけている。たとえば、「スパイス」「たれ」「ふりかけ」は品揃えに幅を持たせる一方で、「カレー」「パスタ」「乾物」「即席麺」は売れ筋に絞っている。最近の新店で導入する韓国食材コーナーも設置しており、韓国産の即席麺や飲料を販売していた。
菓子売場はオーソドックスな商品構成となっている。力を入れているのが「グミ」で、国産・輸入を絡ませ10段18尺のスペースを使って迫力のある陳列で商品を展開する。
酒類は「京都ヨドバシ店」(京都府京都市)でも導入した「輸入・国産クラフトビール」コーナーを設けており、冷蔵ケースに商品を陳列。「高山麦酒」「飛騨ビール」など地場のクラフトビールもラインナップしていた。
驚くべき商圏の広さ!
6月末に店舗を訪ね、何人かのお客に話を聞いたところ、遠方から来店しているケースが多いようだ。岐阜県大垣市や愛知県一宮市、滋賀県からやってきているというお客もおり、ロピアの商圏の広さには驚かされる。モレラ岐阜店の周辺は田園地帯となっており、SC内店舗とあって、週末と平日での客数の差が大きくなるかと思われたが、調査期間中は常時多くのお客で店内は混み合っており、駐車場も混雑していた。周辺の食品小売は大打撃を受けているに違いない。
さてロピアは22年8月に「柳津店」(岐阜県岐阜市)を出店しており、すでに岐阜県では2店舗体制となっている。また、22年秋には「可児店(仮称)」(岐阜県可児市)のオープンする予定だ。
「2031年に売上高1兆円構想」を掲げるロピア。地盤とする関東とすでに一定の店舗網を築きつつある関西に、中部が加われば、その目標も現実味を帯びてくる。中部地区を攻略していく過程では、同地区随一の大都市、愛知県への進出は不可避だ。早々に愛知県進出となるか、それとも岐阜県での足固めか。ロピアの中部戦略から目が離せない。
(店舗概要)
所在地 岐阜県本巣市三橋1100
開店日 2022年5月26日
売場面積 約700坪
営業時間 10:00~20:00
駐車台数 約5000台(SC全体)