ダイヤモンド・リテール・カンファレンス2014開催レポート
オムニチャネル・コマースのネクストステージ
注目企業の実践アプローチと成長を支えるIT戦略

競争優位を築くためのオムニチャネル差別化戦略

2014/10/14 16:53

感度の高いお客様の支持から一般に拡散

 

 オウンドメディアの活用でも、意外なところから変化が起きる。マツキヨ店内放送に声優を起用したら、アニメファンの感度の高いお客様はすぐに気づき、これもソーシャルメディアで話題になっていた。

 

 そこで特設コンテンツを通じて、特定セグメントとのエンゲージメントを強化する施策に取り組んだ。「イケメンビューティーサロン」という特設サイトをスマホ向けに作り、7人の「イケメン・ソムリエ」の男性キャラクターを登場させ、7役全てを同じ声優に声を担当させた。

 

 普通ならば7人それぞれの声を変えるところを、あえて同じにしたが、それが話題となり、すぐにまとめサイトができ、さらにネットのニュースにも掲載された。対象のメイク落とし製品を購入すると「イケメンサロン店員」のイラストと声で洗顔をレクチャーしてくれるというコンテンツが感度の高いお客様にまず広がり、すぐに一般のお客様や初めてというお客様にも拡散した。

 

 このケースで狙ったものは、コミュニケーションの拡大と特定セグメントに対するエンゲージメントの強化、ブランドや商品の認知と商品の理解を促進すること。もちろん口コミで拡散することも期待していた。LINEやツイッターでも告知し他チャネルとの連携を図ったことも拡散に寄与した。

 

 他チャネルとの連携を図った結果としてメディアにも掲載され、それが対象のセグメント以外にも広がることになり話題が形成されることになった。つまりこのケースでは、Webと店舗が中心となって、それを取り巻く各チャネルが機能するという循環型モデルが構築できたと考えている。

 

 それはツールにより店舗に来店するお客様の声のヒアリングから、それを元にしてコーポレートサイトで感応度の高いコンテンツを展開、さらにLINEやツイッターの利用者に対してコンテンツを告知、それが話題性の高いコンテンツによるバズを発生させることで当社および店舗の注目が高まるという循環を生み出すわけだ。

 

あらゆるビジネスデータを統合し活用する仕組み

 

 オムニチャネル化では、その基盤として社内データの共通化とWeb化を進めるとともに外部データの連携を深めることでお客様像をより明らかにし個々人と最適な関係を目指していく。

 

 店舗から情報を発信し、Webなどを通じてお客様の興味や関心が生まれる。そこからECサイトから購入して店舗で受け取るケースもあれば、あるいは在庫検索して取り寄せや取り置きを希望し来店するケースも出て来る。

 

 また、重い商品や開店時間に来店できないお客様ではECサイトや店舗から宅配を希望し自宅で受け取る場合もある。

 

 商品を手にするまで様々な要素やツールを提供し、その組み合わせでお客様の商品購入につなげていく。そしてお客様はその体験をソーシャルメディアなどで共有することで、他の顧客が反応するという循環だ。これによりお客様の買物体験は大きく変化することになる。

 

 今後、非デジタルチャネルを含む全てのビジネスデータをひとつに集約すること。チャネル特性を生かし顧客体験を軸にチャネル間で連携させ、それぞれのお客様へカスタマイズされた価値を提供する。そうした目標を掲げてオムニチャネル化を図っていく考えだ。

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