商圏拡大が商品進化を促す? ロピアのPB戦略最前線とは
猛烈な出店攻勢によって日本各地で勢力を拡大するロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)。メーカーや卸をM&A(合併・買収)で傘下に収め、SPA(製造小売)モデルによるオリジナル商品の開発を進めてきた同社だが、商勢圏、企業規模が拡大するなかで、商品開発に少し変化が見られているようだ。本誌おなじみのアイダスグループ鈴木國朗氏とともに、ロピアのオリジナル商品を調査し、商品開発の動きを探ってみた。※本文中の価格はすべて本体価格
出店エリア拡大で差別化商品が次々と登場
2020年以降、地盤の関東を飛び出し、関西、中部、九州、沖縄、東北、北海道など、新たなエリアにも次々と進出してきたロピア。商品開発において、商勢圏の拡大は大きなポイントになる。ロピアでは、新規エリアに出店するたびに、生鮮食品や加工食品などで地場メーカーと連携したオリジナル商品を開発、売場に投入している。
たとえば、直近で出店した「ロピア弘前店」(青森県弘前市)の精肉売場では、青森県の老舗食肉卸「いしおか」が製造するロピアオリジナルの冷凍カレーを販売していた。注目したいのは、新規に出店したエリアでも開店時からオリジナル商品が店頭に並んでいる点だ。
開業までの期間内で一連のプロセスをきちんと踏み、仕入れ先や生産者と一緒になって地場の商品を着実に開発しているのがわかる。また、そのようにして開発した商品を他エリアの店舗に展開する動きも広がりを見せており、他チェーンとの差別化につなげている。
ロピアはこれまで、調味料メーカーの「丸越醸造」をはじめ食品メーカーや卸を相次いで買収して傘下に収め、SPA化を進めてきた。「100%現場主導」の考えのもと、オリジナル商品の企画・開発は各店・各部門のチーフの裁量に委ねられており、商圏ごとの特性や嗜好、ニーズを踏まえた、自在かつスピーディーな商品開発が強みとなっている。
商勢圏の拡大と店舗数の増加に伴って、ロピアの販売力がますます高まっていることは間違いない。ただ、全国規模でオリジナル商品を流通させようとするならば、ロットは大きくなり、必然的に在庫リスクが発生する。
たとえば調査期間中は、丸越醸造が製造するロピア定番のオリジナル商品「にんにくぽんず」が3割引きで販売されていた。これはスピード感があるがゆえのリスクであり、製造数の修正や単品管理の強化によりオリジナル商品をもっとブラッシュアップして精度を高める必要があることを示す証左ともいえる。
その一方で、このような失敗を帳消しにするほどのスピード感でさらなる進化や新たなチャレンジ、改善を推し進める力を持っているのもロピアのDNAだ。「オリジナル商品を発売したものの、思うように売れない」という状況はこれからも繰り返されると見られ、許容できる範囲内ととらえてよいだろう。
「マスデメリット」にどう向き合うか
最近では、大手メーカーと共同開発したオリジナル商品も見られるようになってきた。「キユーピー」が製造する「ロピアオリジナルマヨネーズ」がその一例だ。販売力の高まりに伴って、メーカーにとってもロピアの存在感は増していることがうかがえる。

しかし、これは「マスデメリット」と考えることもできる。販売力が高まれば高まるほど、一定以上の生産能力を有するメーカーでなければ対応できなくなる。メーカーのブランド力があったとしても、売れ続ける商品になるかどうかはリピート率による。
ロピアは広域商圏型のマーチャンダイジングを得意としている。したがって、一般的な食品スーパー(SM)に比べて客単価が高く、来店頻度が低い傾向にある。このことから「一般的なSMのプライベートブランド(PB)商品に比べて、ロピアのオリジナル商品の購入機会はより少なく、購入サイクルはより長い」という仮説が立つ。
ロピアの長所は広域から集客し、客数が多く、商品回転率が高い点だ。今後はロットがより大きくなるため、販売動向をモニタリングしながら、これまで以上に早く手を打っていく必要があるかもしれない。
また、売上規模が拡大していくと、
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