ぐるなびが発表 2025年の鍋メニューのトレンドは「アロマ鍋」!?

取材・文:阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

ぐるなび(東京都/杉原章郎社長)は9月25日、2025年「トレンド鍋®」(以下、トレンド鍋)を発表した。「トレンド鍋」とは、ぐるなびが有するビッグデータの情報や会員へのアンケート調査をもとに。その年のトレンドになりそうな鍋メニューを発表する企画だ。25年に選ばれたのは、ハーブやスパイス、柑橘の香りを生かした「アロマ鍋」だった。

博多ほたる 麻布十番店(東京都港区)が考案した「薬膳きのこもつ鍋」(2400円 以下税込、1人前) 

味覚だけではなく嗅覚にもアプローチ 「アロマ鍋」が選ばれた3つの理由

 ぐるなびの「トレンド鍋」の発表は、2009年に始まり今年で17回目を迎えた。過去には、「フルーツ鍋」(17年)、「新感覚すき焼き」(24年)などが選ばれている。

 25年の「トレンド鍋」として選ばれたのは「アロマ鍋」。同社はアロマ鍋を、ハーブやスパイス、柑橘類の香りを生かし、味覚だけでなく嗅覚にも訴えかけることで、心まで満たされるような食体験を提供する鍋メニューとしている。

 今年の「トレンド鍋」に「アロマ鍋」が選ばれた理由は大きく3つある。

 まず、ハーブやスパイスへの注目度が昨今より高まっている点だ。風味づけの調味料にとどまらず、「心身を整える存在」として価値が見直されている。ぐるなびデータライブラリによれば、「ハーブ」の検索数は246月から256月の1年間で約1.7倍に増加しており、関心の高まりがうかがえる。

味噌と鮮魚と純米酒 穂~みのり~(東京都千代田区)がメニューを考案した「和芹と若鳥の柚子味噌アロマ鍋」(1958円)

 さらに、西洋ハーブだけでなく、セリなどに代表される日本古来の和ハーブにも注目が集まっている。これについて、ぐるなび飲食店支援事業部加盟店営業部の林彩花氏は「食に癒しやセルフケアの機能を求めるウェルネス志向を象徴した動き。今後も食のトレンドは健康志向の高まりに牽引されていくだろう」と分析する。

林氏は「鍋は日本の食文化に欠かせない冬の風物詩だ」と話す

 次に、五感の中でも記憶に残りやすいとされる「香り」が脚光を浴びている点だ。ぐるなびが258月に会員を対象に実施した調査では、回答者の8割が「料理を食べる際に香りを重要視する」と答えており、香りが食体験の満足度を大きく左右していることが示されている。

鍋
九州炭火酒場 ばってん 神田西口店(東京都千代田区)が考案した「柑橘アロマ鍋」(1680円)

 最後に、ストレス社会における癒しのニーズである。同調査では、約48%の人が「リラックスや気分転換のために香りやアロマを利用する」と回答している。とくに女性の回答率は約60%に達した。こうした背景から、食事の香りで気持ちを落ち着かせる「アロマ鍋」は現代のニーズに合致していると言える。

 ぐるなび飲食店支援事業部加盟店営業部の林彩花氏は「鍋から立ち上る香りそのものが食体験。味や見た目に加え、香りまで含めて楽しむ『アロマ鍋』をぜひ試してほしい」と発表を締めくくった。

 

取材・文

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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