簡便ニーズ対応で利益を生み出す! ヨークベニマル、トライアル、イオンのアプローチ

宮川 耕平(日本食糧新聞社)

きゅうりも冷食化! 簡便商品充実のトップバリュ 

 食品スーパーが食卓の手間を引き受けるアプローチは、総菜だけではありません。ここ何年にもわたるトレンドの一つに、冷凍食品売場の拡大があります。冷凍食品は、総菜を補完する役割を担いますが、生鮮素材を簡単・便利にする機能も見逃せません。

 冷凍素材ならではのストック性や使いやすさはユーザーにとって便利です。また最近では、生の素材よりも価格が安定していることも魅力になりつつあります。このところ農産も水産も畜産ですら、相場の変動が穏やかとはいえません。

冷凍野菜で利便性と価格の安定性を高めた「ベストプライス スライスきゅうり」

 農産の相場高が続いていますが、そこには気候の影響だけでなく、構造的なコスト増もあるようです。食卓の出現頻度が高い野菜は、産地リレーによって年中流通しています。ただ昨年来、遠距離の輸送にはトラック運転手のリレーも必要になりました。まして人件費は上昇を続けており、物流のコスト構造は以前とは異なります。

 イオングループのPB「トップバリュ」は、100品目を超える冷凍野菜を商品化しています。2月発売の「スライスきゅうり」は、価格対応型のシリーズ「ベストプライス」として発売、ヒット商品になっているそうです。

 きゅうりをカットしてある利便性や、冷凍しても食感を維持する技術もさることながら、その魅力は収穫量の多い旬の時期にまとめて製造して物量を確保できることです。これにより安定した価格を実現できます。消費者にメリットというだけでなく、供給サイドにも安定した収益をもたらすはずです。

 簡便性を高めるために、商品にさまざまな手間を加えます。その手間にはコストもかかりますが、利益の源泉でもあります。最近の取材からも、その工夫は進歩を続けていると感じた次第です。昭和二百年になっても簡便ニーズへの対応は続いているに違いありません。

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