防災への気づきのきっかけに 防災グッズを通年商品で揃えるハンズの役割とは

兵藤 雄之
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防災の日に合わせ報道機関向けに防災食品の試食会を実施 

POP広告で地震に備えての心構えを訴える。ハンズ新宿店6階防災グッズ売場、本田路晴撮影
POP広告で地震に備えての心構えを訴える。ハンズ新宿店6階防災グッズ売場、本田路晴撮影

 91日「防災の日」に合わせて、ハンズ渋谷店を会場として、新聞記者など報道機関向けに防災食品の試食会を実施した。小松氏は「災害が起きると『買っておこうか』ということはあっても、防災食を実際に食べる機会はほとんどない。食べたことがないものを、いざというとき、いきなり食べるのには不安が伴う。そうした不安を解消してもらうため、どれだけおいしいかを体験してもらう場として開催した」と試食会実施の狙いを説明する。

 ハンズでは、現在、150種類ほどの防災食品を扱う。特に災害時には、エネルギーとしてのカロリー、栄養バランス、気持ちを落ち着かせるものが必要との考えから、主食、主菜、副菜、飲料、間食・おやつという切り口での売場展開がお客様の支持を集めている。メーカーの企業努力によって、最近はほとんど、日常食と変わらない味のものでも長期保存ができるようになっている。アレルギーフリーのものや、咀嚼が難しい高齢の方、小さなお子さん向けのものもある。

 さらに店頭のPOPを通じて、防災食のポイントとして、「ローリングストックで備える」「最低でも家族の人数分×3日分(朝・昼・夜・間食)が必要」「災害後に必要な1日の摂取カロリー 成人1人あたり約16001800kcal」などと訴求し、お客様が商品を選びやすい工夫を行っている。

ソーシャルメディアを活用した啓蒙活動

自宅を一時避難場所として使用する際のアイテムを揃えた防災入門セット。ハンズ新宿店6階防災グッズ売場、本田路晴撮影
自宅を一時避難場所として使用する際のアイテムを揃えた防災入門セット。ハンズ新宿店6階防災グッズ売場、本田路晴撮影

 ハンズでは、通年の防災グッズの売場を設けるほか、Webサイトやイベント、インスタグラムなどSNSと連動したかたちでの防災意識の啓蒙活動も行っている。

 同社のサイト『ヒントマガジン』には、「ハンズの防災」特集を毎年掲載。例として2023年版では、「防災食品・非常食をローリングストック」「【地震に備える】事前に準備しておきたい地震対策の防災グッズ」「【豪雨・台風に備える】急な台風・大雨に備える防災グッズ」「【在宅避難に】自宅に備えておきたい防災グッズ」「【外出時の災害に】カバンに入れておきたい防災グッズ」「日々使うアイテムが非常時にも活躍【フェーズフリー】という考え方」という切り口から、それぞれのポイントと関連商品を紹介している。

 また、日本最大級の「防災専門」YouTubeチャンネルを運営する、備え・防災アドバイザーの高荷智也氏ともコラボした。トークショーやインスタライブに出演してもらう一方で、商品や売場づくりの監修も仰ぎ、実践に役立つような売場展開につなげている。

 

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