冷凍食品の最新トレンドは「在宅ニーズに応える本物志向」 秋冬新商品が続々登場!
ラーメン・イノベーション『日清本麺』に注目必至
2021年の秋冬新商品は、需要急伸に対し安定供給が優先であった昨年の状況から一転落ち着いて、各社が新提案、新機軸商品を投入している。コロナ禍で得た新規ユーザーをより魅力的な商品で冷凍食品ファンにしていくことが、業界の今年のテーマである。筆者が考える有力メーカーの新商品のポイントを一覧表(次ページ)にまとめた。本物志向、本格志向が色濃く出たシーズンである。
なかでも衝撃を受けた商品がある。日清食品冷凍の新シリーズ『日清本麺』2品である。「日清が本気で創った、うまい麺」というキャッチフレーズをブランドにした『日清本麺』は、開発に約6年かかったという「生麺ゆでたて凍結製法」(特許出願中)が、業界の常識を覆す技術開発として注目できる。つまり、ラーメン店の調理法、ゆでたて熱々の麺を熱いスープに入れる、という段取りを再現することに成功した。こだわりを伝えられる「レンジ調理専用」にしたことで、麺の香りや味わい、麺の表面の食感が、限りなく生麺に近づいた。商品は、「こくうま醤油ラーメン」「濃厚味噌ラーメン」の2品。醤油は中細ストレート麺、味噌は中太ちぢれ麺と分け、しっかりした麺に合わせた力強いスープ、具は、大判の炙り焼豚、メンマ、ネギ。価格は200円台後半が想定される。バイヤーの評価は高く、配荷率もかなり高いと聞くブレイク・スルー商品だ。
遅ればせながらの市場参入に踏み切った、マルハニチロの「極旨!ももから揚げ」も話題商品である。既存から揚げ人気製品に対抗する差別化ポイントは、赤坂璃宮譚彦彬オーナーシェフ監修、ブレッダリング(衣の粉をまぶす)による手づくり感のある薄衣である。インパクトのあるパッケージデザインには、500gと大きくアピール、お得感も訴えている。
味の素「ギョーザ」の50年目の進化もこの秋の話題である。豚肉配合を従来比1.5倍にするなど、大きな転換による商品力アップを図った。
結果の期待できる新商品群が揃った。パッケージを見ると金色を配した商品が目立つ。金メダルを意識したか、と邪推しながら、『東京五輪は冷食業界のエポック年』というフレーズを1年遅れで楽しんでいる。