バイヤー、マーケター必見!ウィズコロナ、アフターコロナの食マーケティング、6つのキーワードとは
外食、中食、内食のハイブリット業態とは
次に「業種業態間の垣根の溶け込み」についてだが、コロナの影響による外出自粛、公的機関からの営業時間の短縮要請により、外食産業にとって厳しい状況が長引いている。そうしたなかで、外食、内食、中食のいずれにも関わるような、中間的な形態、業態が生まれてきている。
これまでの外食の概念では、調理、提供場所、消費は、同一が前提だった。ところが、このコロナ禍での、飲食のデリバリーサービスの浸透により、提供形態と調理が、多様化、分離されてきている。外食、中食、内食が、相互に近づき、浸食しあい、その垣根が溶け合っているのだ。
こうした動きのわかりやすい例が、「日本型のダークキッチン」と、「サブスクリプション型BtoC手作り料理配送サービス」だ。
日本型のダークキッチンでは、メーンとなる事業者が直営店舗の運営、デリバリー専門のブランドやメニューの開発を行い、契約店舗に3rdパーティ的にダークキッチンとして調理を担ってもらう。顧客はウーバーイーツや出前館などのデリバリー会社経由で注文を入れ、届けてもらう。この発展形として、メーンの事業者は直営店舗をもたないプラットフォーマーとして機能する方式も考えられる。
次に、サブスクリプション型BtoC手作り料理配送サービスは、メーンの事業者のキッチンに、プロの調理人や栄養士に来てもらい、手作り料理を調理してもらい、顧客の自宅までデリバリー会社の配送サービスで届けるというもの。LINEを生活者接点として利用し、月額課金により定期的に外食品質のプロの料理を提供する仕組みになる。
「共働き世帯に提供している『生協のミールキット』、食品スーパーのデリカ部門などとの競合になるのではないか」(小山氏)
食マーケティング、7つの切り口
小山氏は、このセミナーを締めくくるにあたり、同社が独自に行った調査(2020年7月、21年2月に実施)結果から抽出した、今後の食品マーケティングの切り口になるキーワードを以下のように提示した。
- 男性の家事参加
- 家事ソリューションの多様化
- 社会連帯意識
- 手軽に健康
- 食探求心の高まり
- 情緒的な満足
- デジタルリテラシーの高まり
「こうした新型コロナの長期化の影響を受けて、生じた生活者の意識の変化、ふつふつと行動にあらわれてきた深い変化は、コロナが収束しても定着していく流れだろう」(小山氏)