コロナ禍で店頭販促が難しかった2020年秋冬の新商品、それでもヒットした商品の要因とは?
2020年、新型コロナウイルス感染症の拡大で、人々の消費動向は一変した。ロングセラー商品や定番商品は安定した需要が見込めるが、新商品は試食販売などの店頭販促が難しいため、出現数は少なめだ。そうしたなかでも売上に寄与した商品はある。カテゴリーごとの1位を抽出し、ヒットの要因を探った。
菓子を中心にした「鬼滅の刃」コラボ商品が大ヒット
2020年7~12月に新商品・リニューアル新商品として発売された商品を期間金額PIでランキング化したところ(販売店率20%以上の商品が対象)、主要カテゴリーのランキング1位商品は上記のようになった。
今回も20年春夏同様に、新型コロナウイルスの影響により内食が増えたことで、簡単調理で主婦の負担を軽減しつつも本格的な味が楽しめる商品が支持された。たとえば、日清フーズの「日清カップでつくる お好み焼セット」は、ミックス粉とトッピング材料がセットになった商品で、カップ入りという容器形態を採用することで調理における簡便性をさらに追求した。また、ハウス食品の「ハウス こくまろバターチキンカレー」や、丸大食品のドリアソースシリーズの「海老ドリア」は、家庭で手軽に外食の味が楽しめる点が好調の要因だ。
在宅勤務の増加でランチ需要を取り込んでいるのが冷凍麺。なかでも冷凍パスタは間口・奥行きともに広がっている。日清フーズの「マ・マーTHE PASTA」シリーズからは濃厚で深い味わいを追求した「じっくり煮込んだ濃厚ボロネーゼ」が人気だ。また、映画「鬼滅の刃」とコラボレーションした菓子や加工食品が大ヒットしており、丸美屋食品の「鬼滅の刃ふりかけ鮭&たまご」、ロッテの「鬼滅の刃デザインボトル」、U H A味覚糖の「ぷっちょワールド鬼滅の刃消しゴム」、長登屋の「鬼滅の刃プリントクッキー柱」などが1位に輝いた。
健康をキーワードにした商品が依然、高いニーズ
健康をキーワードにした商品も注目を集めている。キリンビバレッジの「キリンiMUSEヨーグルトテイスト」は、「健康な人の免疫機能の維持をサポートする」という機能性を表示した、すっきり飲めるヨーグルト味の飲料だ。森永乳業の1つの商品で血圧、血糖値、中性脂肪の3つの機能を表示した「トリプルヨーグルト」シリーズからは、砂糖不使用タイプが登場。すっきりとした味わいが新たな需要を取り込んでいる。また、Mizkanからは、フルーティなおいしさと飲みやすさが評価されている「フルーティス」シリーズに、そのまま飲めるストレートタイプがランクインした。
ロングセラーブランドの強化も目立った。味の素AGFは《「ブレンディ」スティック》シリーズを一新。商品価値をより向上させたことで、ミックスタイプインスタントコーヒー、ココア、紅茶、日本茶カテゴリーで1位を獲得した。強いブランドをより強化することが成功につながっている。