サッポロ、好調の「99.99」「男梅サワー」に注力、家庭用と業務用の両輪でブランド認知向上へ=連載:深掘りすれば見えてくる「チューハイ編」

室作幸江(ライター)
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深堀すれば見えてくる

サッポロビールでは今期、同社の基幹ブランドである「サッポロチューハイ99.99(フォーナイン)」と「サッポロ 男梅サワー」の2ブランドに注力。家庭用と業務用でのブランドブリッジを推進することで、両ブランドの浸透を図っていく。

クリアな味わいで前年比95%増若年層も取り込む「99.99」

純度99.99%の高純度ウォッカを使用した透明感のあるクリアな味わいとスムースな飲み口、スタイリッシュなデザインが特徴の「サッポロチューハイ99.99」。リニューアルに合わせ、新フレーバー「クリアシークヮーサー」が加わった

 サッポロビールがRTDカテゴリーに参入したのは2010年。この10年でRTDを取り巻く環境は大きく変化してきた。

サッポロビールブランド戦略部 RTDグループリーダー永井敏文氏

家庭でサワーを楽しむ場合、一昔前は焼酎やハードリカーを炭酸で割って飲むことが主流だったが、缶チューハイの登場以降、多種多様なフレーバー展開に加えて、甘みが少なく食事にも合わせやすい高アルコールタイプやハイボール缶の登場もあり、一気に需要が拡大した。それまではビール類を飲用していたユーザーの中には、割り材もいらず値ごろ感のある価格で気軽に楽しめるRTDに移行する人も増えている。

 サッポロビールのRTDカテゴリーはこの10年で12倍にまで成長【図表❶】。この成長を牽引しているのが「サッポロチューハイ99.99<フォーナイン>」と「サッポロ 男梅サワー」の2アイテムだ。

 「サッポロチューハイ99.99」は、「研ぎ澄まされたうまさ」というコンセプトのもと、純度99.99%の高純度ウォッカを使用した透明感のあるクリアな味わいと、飲み飽きないスムースな飲み口が特徴の本格チューハイ。 RTDへの新たなニーズである「飲み飽きない美味しさ」「上品な口当たり」「本物感」や「高級感」に応える商品として開発された。

 18年8月、ドライならではの甘さのないキレのある味わいを持つ「クリアドライ」と、レモンのキリッと引き締まった酸味が楽しめる「クリアレモン」の2アイテムでスタート。発売1週間で60万ケースを達成するなど大きな話題となった。

 その後、18年11月に「クリアグレープフルーツ」、19年3月に「クリアライム」を追加し、数量限定商品の「クリアアップル」や「クリアジンジャー」「クリアユズ」を手掛けるなど、徐々にフレーバーも拡大。19年5月には発売以来のシリーズ累計売上1億本を突破し、9月には販売計画を2.5割増に上方修正している。この結果を受け、19年の「サッポロチューハイ99.99」販売実績は前年比195%の466万ケースと大幅伸長、同社のRTD全体の販売実績も前年比130%と好調に推移した【図表❷】。

 この好調要因について、サッポロビールのブランド戦略部RTDグループリーダーの永井敏文氏は、「食中酒提案による需要拡大に加え、高純度ウォッカならではのすっきりクリアなおいしさ、シンプルでスタイリッシュなパッケージが、幅広い年代のお客さまに支持していただいている」と語る。

 「サッポロチューハイ99.99」のメーンターゲットは、RTDや新ジャンルの主要層である30~40代の男性だが、洗練されたパッケージデザインやCM・イベント等によるコミュニケーションも奏功し、20代の若いユーザーも獲得している。

 同ブランドは3月31日に商品をリニューアル。クリアスムース製法により、さらに後味をすっきりさせ雑味をなくしたほか、パッケージデザインもスタイリッシュなイメージはそのままに味わい訴求を追加した。また数量限定商品で好評だった「クリアシークヮーサー」をラインアップに追加している。リニューアル発売に合わせテレビCMやWebでのコミュニケーションも予定。CMと連動した販促ツール等も準備している。

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