レシートは語る第12回 スーパー隣接型が増加中の「無印良品」 併設出店で期待できる効果とは

山室 直経 (mitorizDMB本部 本部長)
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 mitoriz(東京都/木名瀬博社長)は、全国に約40万人の協力モニターを擁し、日本初のレシートによる購買証明付き・購買理由データベース「マルチプルID-POS購買理由データPoint of Buy(ポイント・オブ・バイ:以下、POBデータ)」を有している。月間1000万枚のレシートを収集し、リアル消費者購買データベースとしては国内最大級の規模となる。(提携サイト含める)

 このPOBデータと協力モニター(以下、POB会員)へのアンケート調査を活用すれば、消費者から見た小売りチェーンの実態を明らかにすることができる。本連載では毎回、業界で関心の高いテーマを設定して独自調査を実施し、その結果をレポートする。

 連載第12回は、良品計画(東京都)が運営する「無印良品」に注目した。同社は地域密着を掲げ、食品スーパーとの隣接店の出店を加速させている。実際に、「無印良品」はどのような層が、どんな使い方をしているのか。また、スーパーとの隣接店はどのような利用傾向があり、ともに出店するスーパーはどのような効果が期待できるのだろうか。今回の調査により分析していこう。

スーパー隣接店は
ユーザーが路面店の2倍超に

 まずはPOB会員へのアンケートにより、「無印良品」利用者のユーザー属性(性別・年代・家族構成)を立地別に分析した。図表1は、その結果をまとめたものだ(調査期間:2023年8月24日~8月26日、対象:1年に1回以上「無印良品」を利用する全国の消費者)。

図表1

 ユーザーが多い立地は、「ショッピングセンター・モール(1297人)」「駅ビル(400人)」「スーパー隣接(186人)」「その他(106人)」「路面店・商店街(82人)」の順だった。やはり、人の集まる商業施設や駅ビル内の店舗よりは少なくなるものの、スーパー隣接店は路面店・商店街と比較して2倍以上のユーザーが多い。

20~30代が多く利用
スーパー隣接は男性、
60代の割合が高くなる

 「無印良品」全体の利用傾向(総計)を見ると、年代別ではやはり、アンケート回答者数(n数)が多い世代の割合が高くなっている。ただし、POB会員全体と比較すると、無印良品利用者は、20代が+07ポイント(pt)、30代が+3.27pt高く、20~30代が多く利用する傾向があると言えそうだ。

 次に、「スーパー隣接」の特徴としては、男性比率が総計より9.2pt高く、立地別店舗の中でも最も高かった。また、年代別でとくに60代の割合が総計よりも6.6pt高くなっている。
「無印良品」にとっては、スーパーと出店することで客層を広げる効果が得られているようだ。

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記事執筆者

山室 直経 / mitoriz DMB本部 本部長

山室直経(やまむろ・なおつね)

神奈川大学経営工学科卒業。パソコンメーカーを経て、米リサーチ会社にてコンサルティング業務を学ぶ。その後、大手家電量販店子会社のパソコンメーカーで経営企画室に従事。計数管理とERP導入による業務改善などのプロジェクトを経験した後、2012年3月ソフトブレーン・フィールド入社、消費者購買データ事業の新規立ち上げを行う。

現在はデータを軸とした事業開発と当社の基幹システムのDX戦略を担う

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