本格なのに「割安」 外食も総菜も、代替ニーズの終着点が「冷凍食品」かもしれない理由

宮川 耕平(日本食糧新聞社)
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「割安感」を得たとき、冷凍食品は無敵?

外食や専門店の味も家庭で味わえる冷凍食品に(ライフビエラ蒔田店)
外食や専門店の味も家庭で味わえる冷凍食品に(ライフビエラ蒔田店)

 外食企業の家庭向け冷凍食品への参入も相次いでいます。コロナ禍以来の流れで、牛丼のような日常的なものからファミレス、デパ地下の総菜専門店、ご当地餃子、航空機内食まで、外食の味を幅広く購入できるようになりました。外食の移植は食品スーパーの冷凍食品売場に新しい価格帯のカテゴリーを創出しつつあります。一食としては総菜部門より高単価なものもありますが、外食よりはリーズナブルという割安感が働いています。この試みは外食にとっても食品スーパーにとっても魅力的なので、コロナが完全に収束した後もチャレンジは続くと思われます。

 冷凍食品躍進の要因は、総菜や外食からの流入にとどまりません。日配やグロサリーからのシフトも進んでいます。冷凍麺は市場全体が伸長しています。外食・総菜からのシフトに加え、乾麺やチルド麺からのスイッチもあります。麺を茹でずに電子レンジで済む便利さは強力です。ただ、経済性またはバラエティの豊富さからいって、まだまだ乾麺やチルド麺を選ぶシーンは少なからずあります。しかし個人的には、ピザや餃子のように、もはや冷凍食品に完全に移行してしまったものもあります。

 生鮮素材も「冷凍食品化」が進んでいます。魚の切り身や干物、挽肉などはその例です。野菜は、サラダを冷凍素材にスイッチするのは困難ですが、用途次第では可能なものもあります。果実はフローズンの方が割安になる場合があり、生ゴミも出ない便利さもあります。

 冷凍食品へのスイッチは、その利便性に割安感が伴ったとき、強力に進むはずです。割安感とは、目的に応じた品質と価格のバランスであり、満足感とも言い換えられます。冷凍食品はいろいろなカテゴリーで、この割安感を備えてきました。だからこそ今や家庭の冷凍庫はパンパンになり、食品スーパーの売場にも収まり切らなくなって、新店や改装店での拡張が続いているのでしょう。

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