「データ連携」が小売業界にもたらす新しい価値と進化するリテールメディアの今後
複数の外部データを統合し、情報を活かす「POSMIL-TREND」
DXの取り組みは自社データだけではなく、外部のデータを上手に活用することでも非常に効果が上がる。例えば自社商品がTV放映された際、放映日にはYahoo!の検索回数が跳ね上がる。TVの影響は非常に大きく、放送商品の売上は放映日翌日に前年比300%超え、商品によっては1500%近くにもなる事例もある。自社商品が取材を受けた場合は把握可能であるが、番組側の企画として取材無しで紹介された場合や、テーマとして取り上げられた場合の把握は難しい。このような場合も検知対象商品を「POSMIL-TREND」に登録しておけば、エム・データのTV番組DB(テキストデータ)、Yahoo!の検索データ(DS.API)、市場POSのトレンドを組み合わせた検索結果を通知する。この結果を受け、メーカー企業様であればバイヤー商談の提案資料、小売企業であればお客様向けPOP等でタイムリーに販促を打てる。
インターネット広告への出稿に比べ、テレビで紹介された直後に対応できれば機会損失なく売上が獲得できる。これまで人間の目視でやっていたこと、やりきれなかったことをシステムで実現してしまう、これも一つのDXである。
データ連携で実現するお買物情報のリッチ化
店頭とオンラインの融合において、商品DB・商品マスタの拡張は重要である。商品コードと同時に表示すべき情報は商品名や画像以外にも売価や在庫、レビューなどたくさんある。大量の商品コードに加え新商品が出続ける中、それらを自前でメンテナンスすることは困難である。弊社はお買物情報のリッチ化を実現するため「共通商品マスタ」に挑戦している。様々なデータ供給元から入るデータを大きな共通商品マスタに入れ、各種サービスに連携し、常に最新の商品マスタが生成される仕組みを構築している。
「チラシのDX」にも取り組んでおり、5月27日より新しいデジタルチラシ「チラシNEXT」をSM企業に無償提供している。チラシのテーマ訴求と商品の良さを詳細に伝えられる。商品の特徴を説明するストーリー広告のテストでは、ストーリーを見て対象商品を買った人のトライアル率は94%、ストーリーを読んでいないお客様に比べて読んだお客さまの買い上げ率は15倍となった。さらなる挑戦として、お客さま毎に「1to1のチラシ」の提供も進めている。
コロナ禍においてSM店舗内での試食提供ができない中、売場に代わってデジタルの場で商品価値を伝えることも情報の連携の仕組みを活用して取り組んでいく。データ連携は、顧客毎のパーソナライズの効果を高めるとともに、小売業のリテールメディアの取り組みをさらに進化させていくだろう。