【ハネウェルジャパン】新冷媒「ソルスティスN40(R-448A)」2018年に国内で500システム超の導入をめざす
流通業界にとって省エネは、地球温暖化対策の推進とともに経営コスト削減のために避けて通れないテーマだ。米ハネウェルが開発した新冷媒「ソルスティスN40」は、海外流通大手での採用が進み、日本での採用も昨年より始まっている。
米ハネウェルは、本社をニュージャージー州モリスプレーンズに置き、世界約70カ国1300拠点を展開するグローバルカンパニーだ。そのうち「ソルスティスN40(R-448A)」を開発し事業化したフッ素化学品事業部は同社の4事業部であるPMTの一部門。長年冷媒用や発泡剤など向けにフロンを供給し、現在はオゾン層破壊係数(ODP)がゼロかつ地球温暖化係数(GWP)も低い従来のフロンを代替する新しいフロンの開発製造に取り組んでいる。
開発した新冷媒「ソルスティスN40(R-448A)」は目的とする性能を発揮するため、新開発のHFO(ハイドロフルオロオレフィン)である「ソルスティスyf(R-1234yf)」と「ソルスティスze(R-1234ze)」に既存のHFC(ハイドロフルオロカーボン)類の代替フロンとの混合比率を最適化した冷媒。オゾン破壊が懸念され全廃が決まっているかつてのHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)と同様に不燃・無毒であり、ODPがゼロ、さらにGWPは1387と低い。
取締役
アドバンスド・マテリアル部門長
瀧瀬 勝之 氏
地球温暖化防止のために、まず取り組むべきは省エネ。店頭の照明のLED化などが進むが、もっとも電力消費するのは冷凍・冷蔵機器のコンプレッサー。ハネウェルジャパンの瀧瀬勝之・取締役アドバンスド・マテリアル部門長によれば、コンプレッサーへの負荷を低め、さらに冷却効率を向上できたことで、「現在冷媒用として主流のR-404Aに比べ、確かめられている省エネ効果として、5~17%の省エネを実現した」という。これを国内のスーパーマーケット1店舗(6冷蔵系統+5冷凍系統、4000㎡)で想定すると、年間5万5000KWhの省エネとなり、電気代で110万円のコスト削減が可能になる。同様に1冷蔵系統のコンビニでシミュレーションした結果では、年間3000KWhの削減と6万4500円の電気代をセーブできるという。図のように、10年使用した場合のカーボンフットプリントで、圧倒的なウエートを占めるのは使用による電力消費。“自然冷媒”と呼ばれるCO2冷媒は、電力消費が大きくR-404Aに比べてもむしろ不利であり機器コストや設備コストも圧倒的に高い。
「省エネ効果とともに、欧米ではCO2排出削減を実現化するソリューションとして、ASDA(ウォルマートグループ)やテスコといったグローバル流通大手ユーザーに評価されている」と瀧瀬取締役は強調する。フロンの用途は広いが、それぞれに合致する低GWPの代替技術の開発が急務となり、それを実現したのが、ハネウェルが開発したHFOというわけだ。「ソルスティスN40」に関して瀧瀬取締役は、「すでに海外では100社以上8500システム程度で使用されている」と話す。急速に採用が進む要因のひとつとして挙げられるのが、「R-404Aを使用する冷凍機ならば、若干の機器調整のみでレトロフィットできる」ということ。最小限の改造コストで省エネ効果が高く、低GWPの冷媒を導入できるメリットは大きい。
ハネウェルジャパンでは、「2018年は日本の流通業でも導入が始まる」と手応えを感じている様子。国産冷凍機メーカーでも、「ソルスティスN40」採用機器が2016年から投入されており、今後も機器のバリエーションは拡大する。すでに実店舗での導入も、2017年から実証レベルを含めてスタートしており、その結果を受けて本格的な採用が2018年後半から本格化。「2018年には大手流通業での採用を見込み、500システム以上で導入されるとみている」(瀧瀬取締役)と期待を滲ませている。
ハネウェルジャパン株式会社
http://www.honeywell-refrigerants.com/japan
フッ素化学品事業部 冷媒担当
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