「農心ジャパン」の成長戦略とは!?ネクスト韓国麺の「ノグリラーメン」が急成長
農心ジャパンが「辛ラーメン」に続き、日本での定着をめざして注力しているのが「ノグリラーメン」。日本市場であまりない海鮮系スープに、もちもちとした食べ応えのある太麺を合わせたインスタントラーメンだ。商品だけでなくキャラクターの露出を図り、若年層に向けたプロモーションを展開していく。
〈HOT〉と〈マイルド〉の併売で売上アップのチャンス
韓国の即席麺の代名詞といえるほど日本でも浸透している「辛ラーメン」。その「辛ラーメン」よりも先行して発売され、韓国で認知・人気ともに高い即席麺が「ノグリラーメン」だ。唐辛子とムール貝、いか、えび、かつおなどの海鮮でだしをとった海鮮スープと、もちもちとした食感の太い麺が特徴。即席麺で海鮮スープは珍しく、他の即席麺との差別化が明確で、根強いファンを獲得している。
2022年に発売40周年を迎えた「ノグリラーメン」が日本で注目を集めたのは、2020年に公開された韓国映画「パラサイト半地下の家族」で、「チャパグリ」が登場したのがきっかけだ。「チャパグリ」は、韓国風ジャージャン麺「チャパゲティ」と、「ノグリ」をミックスした甘辛な汁なし麺。登場人物が「チャパグリ」を食べるシーンが印象的で話題となり、TVなどでも取り上げられ、一気に認知が広がった。その後の韓国ブームの追い風もあり、「ノグリラーメン」は日本でも人気急上昇中だ。
とくにこの2~3年は大きく伸長しており、「ノグリラーメンHOT」はもちろん、辛さ抑えめのマイルドタイプが急拡大。配荷率は〈HOT〉の方が高いが、〈マイルド〉も一緒に陳列している店舗では〈HOT〉と同じくらい〈マイルド〉も回転するほどの人気だ。しかも〈HOT〉と〈マイルド〉はカニバリすることなく、新規ユーザーを獲得しているため、同時陳列は小売店にとっても売上アップにつながるチャンスといえる。
若年層に向けてプロモーションを強化
「ノグリ」とは韓国語で狸の意味で、パッケージに登場するキャラクターのノグリもブランドの人気を後押ししている。
韓国でも若年向けのPRで再成長している「ノグリラーメン」。日本でもZ世代向けのイベントでのサンプリングやSNSのプロモーションを活用している。今年からは、韓国文化が好きな学生へ向け、学校と企業の取り組みとして授業や学校イベントで協業し、ただ商品を配布するだけでなく、商品の価値や人気の理由などを理解してもらうことで、ファンの育成につなげている。
店頭では、既存の即席麺売場だけでなく、韓国食品コーナーなどを積極的に提案。韓国即席麺を数多く品揃えしている同社が中心になって売場づくりを行っている。
同社では「辛ラーメン」に続く、韓国の即席麺として「ノグリラーメン」を育成していく考えで、来年以降は「ノグリ」のキャラクターを使ったアパレルブランドとのタイアップなども計画中だ。「辛ラーメン」との違いを明確にすることで、固定ファンをねらう。韓国ではすでに「ノグリ」のキャラクターは大人気で、レゴブロックでの商品化やアパレルブランドとのコラボレーションのほか、ノグリダンスなども話題となっている。
同社では商品だけでなくキャラクターも押し出すことで、日本でも定着させていく考えだ。