米小売売上高、8月は予想外に増加 オンライン販売が好調

ロイター(ロイター・ジャパン)
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米ミズーリ州のマーケット
米商務省が16日に発表した8月の小売売上高(季節調整済み)は前月より0.7%増え、市場予想の0.8%減に反して増加した。ミズーリ州で2020年4月撮影(2021年 ロイター/Lawrence Bryant)

[ワシントン 16日 ロイター] – 米商務省が16日に発表した8月の小売売上高(季節調整済み)は前月より0.7%増え、市場予想の0.8%減に反して増加した。オンライン販売のほか、家具が大きく伸び、自動車販売の低迷が相殺された。

学校の新年度開始を控えた商戦や、政府からの児童税額控除の支給が後押しした可能性が高く、第3・四半期の経済成長が急激に鈍化するとの予想が和らぐ可能性がある。

前年同月比では15.1%増と、伸び率は新型コロナウイルス感染拡大前の水準を大きく上回った。消費の対象がモノからサービスに戻りつつある中でも、小売売上高は堅調に推移。世界的な半導体不足で自動車メーカーが減産を余儀なくされ、販売店での在庫が不足している状況にもかかわらず、回復した。PNCフィナンシャル(ピッツバーグ)のチーフエコノミスト、ガス・ファウチャー氏は「個人消費は今後も景気回復をけん引し続ける」としている。

7月の小売売上高は当初発表の1.1%減から1.8%減へ下方改定された。

8月は学校の新学期開始を反映し、オンライン販売が5.3%増。前月の4.6%減から反転した。衣服・服飾品は0.1%増。米国では子育て世帯に対する税額控除が7月半ばに開始され、12月まで継続される。

建設資材は0.9%増、家具は3.7%増加した。

一方、自動車は3.6%減。前月の4.6%に続く減少となった。東南アジアを中心とした新型コロナウイルスのデルタ変異株の感染拡大によって半導体の需給ひっ迫が深刻化しており、一部の電子機器の不足をもたらしている。中国の港湾での貨物停滞も供給面の制約となっている。

スポーツ・娯楽用品は2.7%減。電子機器も3.1%減少した。商品不足が響いたとみられている。

外食は横ばい。新型コロナの感染再拡大が影響した可能性がある。小売売上高統計に含まれるサービスの項目は外食のみ。

自動車、ガソリン、建設資材、外食を除くコア小売売上高は8月に2.5%増え、7月の1.9%減から回復した。コア小売売上高は、国内総生産(GDP)の個人消費部門に最も近いと見なされている。7月には1.0%減ったと推計されていた。

自動車販売台数の落ち込みと、企業が在庫補充に苦慮していることを背景に、エコノミストは第3・四半期のGDP成長率予測を下方修正した。JPモルガンのエコノミストは年率で7.0%増から5.0%増へ再び引き下げた。ゴールドマン・サックスは今月初め、5.25%増から3.5%増へ引き下げていた。

ただ、JPモルガン(ニューヨーク)のチーフ米国エコノミスト、マイケル・フェロリ氏は、新型コロナのデルタ変異株拡散の影響は和らぎ、自動車部門の阻害要因も徐々に解消すると予想。「内需は第4・四半期に上向く」との見方を示した。

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