数字で紐解く!ニューノーマルにおける東南アジアの小売市場の動向 #3シンガポール編

2020/12/11 10:00
ダイヤモンド・リテイルレビュー チーフ・エディター 内山 宗生
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シンガポールの経済成長と小売市場

2019年のGDP成長率は前年比0.8%増にとどまった。2018年のGDP成長率6.6%からの急激な落ち込みとなり、金融危機以来の低さとなっている。シンガポールの小売市場は、ここ数年大きくGDPの成長を下回る状態が続いており、2018年の成長率は1.7%であった。

シンガポール 小売市場規模の推移(2010年~2018年)
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シンガポールのチャネル動向

2014年から2018年の間で、一般小売チャネルの中では、「スーパーマーケット」が唯一、市場を拡大させた。年平均4.0%の伸長率で、他の2つの一般小売チャネル「ミニマーケット/コンビニエンスストア/雑貨店」「百貨店/ハイパーマーケット」はともに市場規模を年平均1.5%縮小させている。専門店チャネルの中では、「薬局/ドラッグストア」が年平均5.3%伸長し、最も高い成長率となった。

シンガポール チャネル別市場規模の年平均伸長率(2014年~2018年)
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2020年上半期の小売市場

COVID-19による職場閉鎖「サーキットブレーカー」が4月7日に発令され、5月の小売売上は前年同月比45.1%減と一気に縮小したが、売上減少分の多くは専門店チャネルと百貨店であった。「スーパーマーケット/ハイパーマーケット」は売上を増加させた。商品供給と人手不足といった課題があったものの、「ミニマーケット/コンビニエンスストア」も売上を増加している。世帯支出比率の高い外食の大幅な減少が、近接している中型スーパーマーケットの売上増につながったと思われる。

シンガポール 小売売上指数(インデックス)前年同月比(2020年上半期)
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COVID-19とEコマース化率

2020年1月のシンガポールのEコマース化率は5.8%であったが、4月に17.7%、5月に24.5%と大きく伸びた。5月の「コンピュータ/通信機器」のEコマース化率は94.3%に達し、専門店チャネルで購買されていた商品のほとんどがオンラインで購入されたことがわかる。一方、「スーパーマーケット/ハイパーマーケット」の5月のEコマース化率は9.6%にとどまっている。

シンガポール Eコマース化率の推移(2019年1月~2020年5月)
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次回はタイの具体的なショッパーと小売市場について要点をご紹介していきたい。

本連載と「ダイヤモンド・リテイルレビュー」について

ダイヤモンド・リテイルレビューASEANはASEANの中核をなす6カ国(タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、ベトナム、フィリピン)のショッパーと小売市場の実態を読み解く有料報告書。ファクトを基盤としたASEAN各国の小売市場の全体像や主要チャネルの現状、ショッパーの支出傾向などを把握することができる
2018年から刊行を開始しており、2020年12月にマレーシア、シンガポール、タイの3カ国の更新版「ショッパー&リテイル2020/21」を刊行。更新版は、2020年上半期の小売市場の状況を特集として扱い、3カ国の小売環境の大きな流れとCOVID禍にある市場の最新情報を提供

  • ダイヤモンド・リテイルレビューASEANの詳細については、下記URLを参照していただきたい。また、インドネシア、ベトナム、フィリピンに関しては、海外往来制限が自由になった後に発刊を行う予定。

   https://drr.diamond-rm.net/

  • DCSオンラインでは、更新された3カ国の報告書の要点を4回のシリーズにてご紹介する。また、登録をいただいた方には、オンデマンドでプレゼンテーション動画を配信しており、そちらもあわせてご利用いただきたい。

#3シンガポール編 特別動画を視聴

シリーズの内容

  1.  マレーシア・タイ・シンガポールの2020年上半期の小売市場の概要
  2.  マレーシアのショッパーの消費と小売市場
  3.  シンガポールのショッパーの消費と小売市場
  4.  タイのショッパーの消費と小売市場
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