数字で紐解く!ニューノーマルにおける東南アジアの小売市場の動向 #1

2020/11/30 13:00
ダイヤモンド・リテイルレビュー チーフ・エディター 内山 宗生
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ダイヤモンド・リテイルメディアは、東南アジアの小売市場の現状分析と戦略立案をサポートする「ダイヤモンド・リテイルレビュー」(PDFファイル形式)を刊行しています。2020年12月、各国の消費者情報を深掘りするとともに、小売マーケットの最新情報をお伝えする「ショッパー&リテイル」として刷新し、タイ、マレーシア、シンガポールの最新版を発刊いたします。
この連載では「ダイヤモンド・リテイルレビュー」のチーフ・エディター内山宗生が、新型コロナウイルスの影響を大きく受けた2020年上期の動向など、多様性に満ちた東南アジアの最新の消費者動向と小売市場の“いま”を読み解きます。

マレーシア・シンガポール・タイのCOVID-19と2020年上半期の小売市場

マレーシア、シンガポール、タイの2020年上半期の小売売上インデックスは、各国とも日本に比べてより制限力の強い政府のCOVID-19対応策により、大きく減少した。順調な伸びを示していたマレーシアは、20年3月には前年同月比32.4%減と落ち込み、前年19年のGDP成長率が0.8%という低さであったシンガポールは5月に45.1%減となったが、スーパーマーケットは未曾有の好況を呈した。世帯支出が減少していたものの小売市場は堅調な伸びを示していたタイでは、4月に29.4%減となった。ちなみに、日本では4月の前年同月比の減少率が2020年上半期では最も低く、13.9%減であった。

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各国の状況を概括してみよう。

マレーシア

2020年上半期の小売市場

20年3月18日に発令され、2度にわたり延長され5月12日まで続いた「活動制限令」により、社会活動と経済活動は大きく制限されることになった。そして、ほぼ全ての社会・経済活動が許可される「回復のための活動制限令」は、6月10日に発令された。

マレーシア統計局が発表している20年上半期(1月~6月)の小売売上指数(インデックス)によると、1月と2月はそれぞれ前年同月比6.7%増、6.3%増と推移していた。「活動制限令」が発令された3月は6.6%減となり、4月には32.4%減と大きく減少した。5月は16.1%減であったがほぼ全ての経済活動が許可された6月は9.2%の減少となっている。
減少率は専門店チャネルで高く、「他の住宅設備関連」「レクリエーション/教養」「情報/通信」の減少率が大きい。一方、一般チャネル全体は、4月が9.3%減にとどまり、5月は3.2%減、6月は1.2%減と回復基調をみせている。

マレーシアの19年通年のGDP成長率は4.4%であったが、20年の第1四半期(1月~3月)の前年同期比の成長率は0.7%増まで縮小し、第2四半期(4月~6月)の成長率は17.1%減と大きく低下した。ASEAN6の中では最も大きな減少率である。20年6月時点で世界銀行、IMFそしてアジア開発銀行は20年通年のマレーシアのGDP成長率を予測している。世界銀行は3.1%減、IMFは3.8%減、アジア開発銀行は4.0%減という数値を発表している。

マレーシアの小売市場

一般小売チャネルの中で最も大きいチャネルはハイパーマーケットで、19年の市場規模は326億8700万MYRとなり、一般小売チャネル全体の23.7%を占める。「トラディショナル・トレード(伝統的な小売店)」と呼ばれている食料品雑貨店が2番目に大きなチャネルで、市場規模は250億8800万MYR。18.2%を占めている。スーパーマーケットが3番目に大きなチャネルで16.6%を占め、市場規模は228億7400万MYR。さらにミニマーケット、スーパーマーケット併設百貨店、百貨店と続く。
コンビニエンスストアは一般小売チャネルの中では最も小さなチャネルであり(その他の一般チャネルを除く)、19年の市場規模は34億6900万MYRで、一般小売チャネルの全体の2.5%を占めている。

14年から19年までの年平均伸長率では、「食料品雑貨店」と「ミニマーケット」の2つのチャネルの小型店舗チャネルの成長が顕著である。一方、「コンビニエンスストア」の伸長率は小型店舗チャネルの中では最も低い。食料品雑貨店が大きく存在感を主張し、モダン・トレードと呼ばれる大型店舗よりも高い伸長率を見せ、小売チャネルとして復権してきたことは興味深い。同じく小型店舗チャネルであるミニマーケットの高い伸長率からも、マレーシアのショッパーの近接チャネルへの選好が明確になっている。
大型店舗チャネルの「ハイパーマーケット」「スーパーマーケット」「スーパーマーケット併設百貨店」の伸長率は、同期間のGDPの年平均伸長率(6.4%)よりは高いものの、小型店舗チャネルと比較すると相対的に低い状況にある。特にスーパーマーケット併設百貨店の伸長率は一般チャネルの中で最も低い。「百貨店」の伸長率は比較的高いレベルを維持した。

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