めざすは海外4000店!コロナ禍でも積極出店する「丸亀製麺」のトリドールの海外戦略
海外で受け入れられるためには現地視点のローカライズが大切
――丸亀製麺についてですが、海外展開するにあたって現地向けに味やメニューはアレンジしているのですか。
杉山 現地の好みに合わせてアレンジは加えています。豚骨スープうどんなど、現地のニーズに合わせた商品開発に加えて、かけうどんなどの出汁も現地の好みに合わせて味を調節しています。例えばアメリカではカツオの風味が強すぎるという声がありましたので、魚の香りを抑える工夫をしています。
――ローカライズしたメニュー開発については、どのような取り組みを行っていますか。
杉山 アメリカではワイキキ出店以降、ロサンゼルスなどの西海岸を中心に出店してきましたが、西海岸には食に対する感度の高い方が多く、“本場の味”に価値を見出す傾向が強い。そのためアメリカ向けにアレンジするよりも、日本で提供しているのと同じようなメニューが評価されています。
しかし、今後アメリカでさらに出店を拡大していこうとすると、ピザやハンバーガーに並ぶ存在としてうどんを受け入れられてもらわなければなりません。この可能性を探る位置づけとなっているのが、8月31日に南部のテキサス州にオープンした新店です。テキサスは西海岸とは違い、食に対して比較的保守的なエリアであると分析しており、ここでは地域の人々の好みに合わせたメニュー開発に挑みました。たとえば、今アメリカで大流行しているカツサンドや、和食メニューの中でも安定した人気を誇る炉端焼き、アメリカ人の好む「マカロニ&チーズ」風のうどんなどを扱っています。今のところ売上は非常に好調です。
――そういった現地向けメニューの開発体制や、現地店舗の運営体制はどのようになっていますか。
杉山 メニュー開発も運営も、現地が主導的に行っています。海外市場において事業を成功に導くには、その地域に合わせたノウハウや市場の理解が必要です。そのため、海外事業については主にフランチャイズもしくはジョイントベンチャーの形で展開しています。
その一環として昨年、アメリカでは現地の外食専門ファンド「Hargett Hunter(ハーゲットハンター)」とジョイントベンチャーを作り、現地での丸亀製麺の運営体制を再構築しました。この体制に移行してから初めての出店となったのが、前述の丸亀製麺のテキサス店です。今後は協業体制の下で、アメリカでの複数ブランドの積極的な展開を進めていきます。