アマゾンの新事業に迫る! 世界初グロサリーストア「アマゾンフレッシュ」
「アマゾンフレッシュ」は増えていく?
ソフトオープンとして、先月からウッドランドヒルズの地元住民だけを招いて営業している理由について、「アマゾンの他の事業店舗と同様に、テスト販売は店の経営にとって重要。本格的にアマゾンフレッシュをオープンする前に一定数の客を招いて店で買い物をしてもらい、客の反応を知り、客の意見を参考にして、カスタマーサービスなどの改善に役立てていきたいから」とバナールさんは話す。
コロナ禍の現在、コロナ感染防止のために入店客数を最大許容人数の半分に抑え、全ての従業員に検温を行なうことや、従業員および客にマスクまたはフェースカバーの着用を義務付けている。希望する客には無料で使い捨てマスクの配布も行なっている。
同店はアマゾンの傘下「ホールフーズ」と差別化している点も新規客が見込めるだろう。例えば、コカ・コーラやクラフト・マカロニ&チーズなど、他社のスーパーマーケットで販売している庶民におなじみの商品は「ホールフーズ」にはないが、同店では販売している。
その上で、L.A.の地元住民に人気で美味しいと評判のロッケンワグナー・ベーカリーのパンなども販売する。同ベーカリーのパンは「ホールフーズ」にはないが、「ホールフーズ」の競合店である高級スーパーマーケット「ゲルソンズ・マーケット」で扱っている。
人気のローカルブランドでベニスビーチ発コーヒーのグランドワーク、主に米国南部地方で販売していてL.A.では手に入りにくいマヨネーズのデュークス・マヨやシアトル発のエレノス・ヨーグルトなど、他社のスーパーマーケットで扱う人気のローカルブランド商品や他社のスーパーマーケットでは扱っていない商品を揃えるなど、各他社の高級スーパーマーケットや一般的なスーパーマーケットと競争が激化する気配が感じられる。
8月30日に買い物した客の一人は「すごく感動した。買いたい商品がすぐに見つかってカートにどんどん入れていけるし、アマゾンでベストセラーの商品も揃っている。一番いいと思った点は、店員と全然接することなく買い物ができたこと。40分ほど店にいて、150ドル(約15,900円)の食料品を購入。普段はラルフス、スマート・アンド・ファイナル、ホールフーズで食料品の買い物をするが、この新しいアマゾンフレッシュは気に入った」と話す。
9月7日に訪れた別の買い物客は「普段はラルフス、ターゲット、ホールフーズへ行く。今回、アマゾンのプライム会員のほとんどが招待されたようだった。店はかなり混んでいた。20分くらい店内を歩いて、20ドル(約2,120円)使った。最初にカートに入れた商品がスキャンされなくて少し戸惑ったけど、その後すぐに慣れて簡単に買い物できて便利だった。しかし、幅広い商品を売っている割には、一つの商品カテゴリーに対して扱っているブランドの数が少なくて自分が買いたいと思うブランドがあまりなかった。安い商品を求めて買う人向けと言うよりは、速く簡単に買い物したい人向けという感じがした」と感想を述べる。
アマゾンは今後、L.A.郊外のノース・ハリウッド、L.A.近郊のノースリッジ、O.C. (L.A.の隣のオレンジ郡)のアーバイン、イリノイ州オーク・ローン、イリノイ州シャンバーグへも「アマゾンフレッシュ」を出店することが決まっている。開店の時期は未定。
今後の同店および同店を訪れる客の動向に注視したい。