[ミラノ 23日 ロイター] – フランスの高級ブランド品メーカー、エルメスが発表した第1・四半期の既存店売上高は前年同期比7.7%減少した。ただ、同業他社と比べて小幅な落ち込みにとどまり、新型コロナウイルス危機を比較的うまく切り抜けている。
LVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)、ケリング、モンクレールなど同業他社の既存店売上高は15%かそれ以上落ち込んでいる。
新型コロナウイルスは昨年終盤、高級品の主要市場である中国で感染が拡大。その後、イタリアやフランスなどの欧州諸国や米国をはじめ世界に広がった。
エルメスのアクセル・デュマ最高経営責任者(CEO)は記者会見で、第2・四半期について、同社店舗の75%が依然として閉鎖されていることを踏まえ、厳しい状況が見込まれると述べた。
ただ、中国の店舗が3月に徐々に営業を再開して以降、中国の売上高は前年比で2桁の伸びを示していると指摘した。
また、第1・四半期の業績が比較的底堅かったのは中国の春節(旧正月)の影響で1月が好調だったことが一因と分析した。
同社は一部のライバル企業と異なり、3月中旬にほぼ全てフランスにある生産施設の閉鎖を余儀なくされるまでサプライチェーンの問題に直面していなかったという。
第1・四半期の連結売上高は15億1000万ユーロ。同社は新型コロナ危機を理由に、2020年の配当を5.00ユーロから4.55ユーロに引き下げ、19年と同水準に維持する方針を示している。
同社はまた、最善の状態での事業再開に備え、生産能力と流通網への戦略的投資を継続しているとした。