米小売売上高、11月は0.2%増とさえず 景気は予想以上に減速も
[ワシントン 13日 ロイター] – 米商務省が13日発表した11月の小売売上高は前月比0.2%増と、市場予想の0.5%増を下回った。好調な労働市場にもかかわらず消費者は支出を切り詰めている実態が浮き彫りになっており、今10ー12月期は景気が予想以上に減速する恐れがある。
米連邦準備理事会(FRB)は今週、金利を据え置くとともに、経済が引き続き緩やかに伸び、失業率も低水準にとどまるとし、少なくとも来年いっぱいも金利据え置きを示唆したばかり。
スタイフェル(シカゴ)の主任エコノミスト、リンゼイ・ピグザ氏は「FRBが3回の利下げで景気の持ち直しを確信し、小躍りしている矢先に、消費は赤信号が点灯してしまった。個人消費の減退は来年にかけて経済への打撃になりかねない」と指摘した。
10月の小売売上高は0.4%増と、当初発表の0.3%増から上方改定された。11月の前年同月比は3.3%増だった。
自動車とガソリン、建材、食品サービスを除いたコア指数は前月比0.1%増だった。10月は0.3%増加していた。コア売上高は国内総生産(GDP)の消費支出に最も大きく連動するとされる。
米経済の3分の2以上を占める個人消費は第3・四半期に年率で2.9%増だった。第3・四半期GDPは2.1%増。第4・四半期のGDP予想は現時点で約1.8%増となっているが、11月のコア売上高が小幅な増加にとどまったことで、一部エコノミストは第4・四半期の成長率予想を1.8%近辺から1.5%を下回る水準に引き下げた。
キャピタル・エコノミクス(ロンドン)のシニアエコノミスト、アンドリュー・ハンター氏は「消費支出の実質的な伸びは第4・四半期は1.5─2.0%に減速したとみている。これは当初の予想よりも若干低い」とし、「経済成長率が1.5%になるとのわれわれの予想に対するリスクはやや下向きに傾いている」と述べた。
FHNフィナンシャル(ニューヨーク)の首席エコノミスト、クリス・ロウ氏は「景気が力強さを増しているように見えた途端に、消費が軟調になった」と指摘。「消費はGDPの大きな部分を占めているため、消費支出の減速は問題だ。特に例年消費が最も力強い第4・四半期の減速は懸念される」と述べた。
ただエコノミストの間では、今年は感謝祭の祝日が昨年より遅かったため消費が12月に後ずれしたことが考えられ、12月の小売売上高は押し上げられる可能性があるとの見方も出ている。
労働市場や住宅市場、貿易、製造業に関する最近の統計は比較的好調な内容で、米経済が貿易摩擦や世界経済の減速に直面する中でも緩やかに伸びていることを示唆していた。この日の小売売上高は一変した内容となった。
6日に発表された11月の雇用統計では雇用者数が前月から26万6000人増えた。失業率は3.5%へ低下し、50年近くぶりの低水準をつけた。
小売売上高の内訳は、自動車が前月比0.5%増。10月は1.0%増加していた。ガソリンスタンドは0.7%増。ガソリンの値上がりを反映した。オンライン小売りは0.8%増。10月は0.6%増加していた。電子・家電は0.7%、家具は0.1%それぞれ増加した。建材は横ばいだった。一方、衣料は0.6%減。外食は0.3%落ち込んだ。運動・娯楽は0.5%減少した。