メタやグーグルへの脅威に!アマゾンの広告事業が急成長する事情

小久保 重信(ニューズフロント記者)
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デジタル広告市場で世界3位の規模に

 インサイダー・インテリジェンスによると、アマゾンは世界のデジタル広告市場で7.3%のシェアを獲得し、3位に浮上した。これに対しグーグルとメタのシェアはそれぞれ28.8%と20.5%。アマゾンは、グーグルやメタからいくらかのシェアを奪ったとしても依然として、この市場で2社に大きく遅れを取っている。だが、ここ最近は広告予算の一部をアマゾンに振り向ける動きが広がっている。

 CNBCによると、スマート目覚まし時計を手がける米ロフティーは、22年のブラックフライデー前後の4日間、メタへの広告予算比率を従来の71%から40%に減らした。それに代えて、初めてアマゾンに広告を掲出し、その予算比率を10%にした。これによりロフティーの4日間の売上高は過去最高の25万ドル(約3300万円)に達した。

 ロフティーの経営者は、「フェイスブックの広告はまったく機能しなくなった。以前と同じ広告効果を得るためには、より多くの広告を配信しなければならず、単にコスト高だ」と述べた。

5割超がアマゾンへの広告増やす

 アマゾンへの広告出稿は、より高い効果が見込めると期待されている。なぜなら、ウェブサイトやアプリ内での顧客の検索行動が直接購買につながるからだ。これに対し、フェイスブックが導入しているようなターゲティング広告は顧客の絞り込み精度が低下しており、それに伴う費用上昇が広告主の負担になっている。グーグルの広告もかつてのような効果を見出せていないという。

 米投資会社のコーエン・アンド・カンパニーが広告主を対象に行った調査によると、グーグルとフェイスブック以外の広告プラットフォームで、今後重要になると考えられるものの1位はアマゾンだった。広告プラットフォームとしてのアマゾンの人気はTikTokをも上回ったという。また、広告主の54%が23年はアマゾンへの広告支出を増やすと回答した。「マクロ経済への逆風を考えると、メタの広告シェアは23年にさらに低下するだろう」とコーエンのアナリストは指摘する。

 

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