市場規模拡大、寡占化進行!小売業12業態、最新市場規模&占有率2024

小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
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経営統合にエリア分割、大型再編が目白押し

 各業態のマーケットシェアはこの先どう変化していくのだろうか。小売業界では、この先も市場占有率に大きな影響がありそうな再編が目白押しだ。

 その筆頭が、DgSトップ2社による経営統合だ。ウエルシアHDとツルハHDは24年2月、経営統合に向けた協議を開始することを発表した。イオン主導のもとファンド経由で段階的にツルハHD株を取得し、27年末までに統合を完了させるという。最新期決算の両社の売上高合計は2兆2448億円で、仮に統合が実現すれば、23年度のDgS市場換算で24.4%のシェアを握る巨大DgS連合が誕生する。DgSはコモディティ商品の取り扱いが中心で、スケールメリットを生かした大量一括仕入れが競争力に直結する。大型再編により競争が激化し、さらなる再編を呼ぶ可能性は非常に高い。

 さらにイオンはSMでも再編を仕掛けており、23年11月にいなげや(東京都)を連結子会社化。この先は24年11月をめどにいなげやとユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都:以下、U.S.M.H)が経営統合し、いなげやはU.S.M.Hの傘下に入る予定だ。これにより、国内最大規模、売上高9000億円超のSM連合が生まれることになる。

 特定のエリアの店舗を他チェーンに譲渡する「エリア分割」の動きも広がっている。

 グループ戦略の転換を進めるセブン&アイ・ホールディングス(東京都:以下、セブン&アイ)はイトーヨーカ堂の店舗の閉鎖を進めており、一部の閉鎖店舗は同じセブン&アイグループのヨークベニマル(福島県)、ダイイチ(北海道)のほか、急成長チェーンのロピア(神奈川県)親会社であるOICグループ(神奈川県)が承継することが決まっている。

 このうちロピアが承継するのは7店舗で、24年9月時点で青森に初出店しており、24年中に北海道、25年中に岩手、新潟、長野にそれぞれ進出予定だ。ロピアは近年猛烈な出店攻勢で売上規模を拡大しており、近い将来、SM市場の上位シェア争いに食い込んでくる可能性が高い。

「イトーヨーカドー五所川原店」を転換して24年8月にオープンした「ロピア五所川原店」
首都圏に経営資源を集中させるべく、店舗閉鎖を進めるイトーヨーカ堂。写真は「イトーヨーカドー五所川原店」(青森県五所川原市:24年3月末閉店)を転換して24年8月にオープンした「ロピア五所川原店」

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記事執筆者

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

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