上場SM・GMS 9社の23年度上期決算レポート 軒並み好調のなかに苦戦組も・・・
2月期決算の食品スーパー(SM)および総合スーパー(GMS)の2023年度上期決算が出揃った。SM、GMSともに軒並み増収決算となったほか、昨今のインフレという逆風下でも増益で着地した企業も多い。また、コロナ禍で業績を大きく落としていたGMSの回復も顕著に示されている。
上期も絶好調のライフ、U.S.M.Hは苦戦
まずはSM各社の決算から見ていこう。
業界最大手のライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)の上期決算(連結)は、営業収益が対前年同期比6.0%増の4001億円、営業利益が同39.2%増の増収・大幅増益だった。
好決算となった上期決算について、岩崎社長は「もちろん努力の結果だが、外部環境がよかったともいえる」と話す。採用強化による人件費増、水道光熱費の上昇などにより、販管費が前年同期から4.9%増となったものの、コロナの5類移行による人流の増加、株価上昇に伴う資産効果といった外部環境の好転が消費を後押しし、営業総利益の伸びが販管費上昇を上回ったかたちだ。
上期累計の既存店売上高は同2.6%増。8月の台風7号の影響により近畿圏の店舗が休業となったことから客数は同0.2%減となったが、客単価の伸び(2.9%増)がカバーした。
通期の業績は期首発表から据え置いており、営業収益は同4.6%増の8010億円と8000億円の大台に乗る見通しで、営業利益以下の各段階利益も増益を見込む。
次に、マルエツ(東京都/本間正治社長)、マックスバリュ関東(同/島田諭社長)、カスミ(茨城県/山本慎一郎社長)の3社を傘下に持つユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都/藤田元宏社長)の上期連結決算は、営業収益が同0.1%減の3526億円、営業利益は同15.5%減の18億円で減収減益だった。
事業会社別では、マルエツとマックスバリュ関東が増収増益だった一方、カスミの営業収益が同3.8%減、営業利益が同98.1%減と大幅な減収減益となったことが全体の業績に影響した。カスミの大幅減益の主因は、他2社に先駆けて専用のプリベイドカードやアプリを用いたポイントプログラムへの切り替えを実施したほか、「ignicaセルフレジ」の全店導入を前倒しで行ったことで投資が先行したため。このうちポイントプログラムについてはお客への周知や浸透に後れがあり、既存店の客数・客単価が落ち込んだことも大きく影響した。
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