日本の小売業1000社ランキング2021 コロナで最も伸びたのはスーパーでもドラッグでもなく意外なあの業態……【特別編集版】
生協が最も高い伸び率を記録
SMの総売上高は17兆4186億円で、前年から6.6%増加。1000社ランキングに入ったのは昨年より22社増えて321社だった。前年と比較可能な319社中、増収だったのは248社と大半の企業が業績を伸ばしている。さらに増収・増益の両方を達成したのは159社となった。過去最高業績となった企業も散見され、まとめ買い需要や巣ごもり需要が高まったコロナ禍ではSMが大きな追い風を受けたことがよくわかる。
コロナ禍で今は潤っているSM業界だが、高齢化や人口減少によるマーケット縮小、ECを含めた異業態との競争など、各社の成長を阻む懸念事項は多い。デジタルトランスフォーメーションや既存店の活性化、消費者のニーズの変化に対応した商品開発などにコロナ禍で得た潤沢な資金を投資し、アフターコロナに備えることが求められる。
すべての業態の中で最も売上の伸び率が高かったのは生協だ。総売上高は対前年比10.8%増の2兆7209億円だった。コロナ禍ではSMと同様、店舗では食品や日用品などの生活必需品を取り扱うほか、需要が高まった宅配需要を取り込み、ほぼすべての生協が売上を伸ばした。1000社ランキングに入った51生協のうち48生協が増収を果たしている。
エイチ・ツー・オーとオーケー、関西スーパー争奪戦へ
今回のランキングは、コロナ禍で好調な業態、不調な業態の格差を鮮明に表すかたちとなった。しかし、今後ワクチンの普及が進み、コロナ禍が収束すれば、再び大きな順位の変動が起こるかもしれない。また、よりいっそう厳しくなる競争環境のなか、上位企業を中心に生き残りをかけたM&A(合併・買収)もあり得るだろう。21年8月末には、百貨店のほか阪急オアシス(大阪府)やイズミヤ(同)などのSM企業も傘下に持つエイチ・ツー・オーリテイリング(同)が、同じく関西圏を地盤とするSMの関西スーパーマーケット(兵庫県)と経営統合することを発表した。これを受け、9月3日にはオーケー(神奈川県)も同社を子会社化する意向を示している。
本特集では、売上高のほか、売上高純利益率、自己資本比率、従業員1人当たり売上高などのランキングを業態別に記載している。各業態の現状や今後の業界展望を読み解く際の参考にしてほしい。
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