雷、台風に要警戒! 2021年8月の天候予測と注目カテゴリを総まとめ
この連載では毎月、気象庁の発表する3か月予報の中で“最も未来”(3か月目)の予報をベースに、ウェザーMDの実践方法を紹介していきます。今回は、気象庁2021年5月25日発表の3か月予報をベースにした、2021年8月のウェザーMDのポイントを解説します。流通小売企業に関わる皆さまの、計画立案の参考になれば幸いです。
2020年8月の天候
まず、前年(2020年)8月の天候を振り返ります(図表①参照)。20年8月は、月が明けてすぐに太平洋高気圧が勢力を強め、日本付近で梅雨前線が消滅したため、まだ梅雨明けが発表されていなかった東海~東北南部にかけての地方でも1日~2日にかけて梅雨明けが発表されました。ただ、東北北部だけは雲の取れにくい状態が続き、梅雨明けのタイミングが判然としなかったため、1951年の統計開始以来7度目となる「梅雨明けが特定できない」となりました。
前月7月の長梅雨、天候不順とは打って変わって、晴れて気温が高い状態が続き、中旬のピーク時は群馬県、埼玉県、静岡県などで最高気温が40℃を超える猛烈な暑さを記録しました。17日に静岡県浜松市で観測した気温41.1℃は、2018年7月23日の埼玉県熊谷市での観測記録と並び、国内過去最高タイ記録となりました。
また、8月中は台風が8個発生しましたが、いずれもとくに強く発達した状態で日本列島に接近することがなかったため、影響は比較的軽微でした。にわか雨、雷雨の発生頻度も少なく、月間降水量は北海道や南西諸島などの一部を除いて記録的な少なさでした。
2020年8月の、特筆すべき天気に関する出来事は図表②のとおりです。客足、あるいは販売動向に影響していると思われるものもあります。実績データの検証をされる際、あるいは前年のデータをもとに今年の予算を立てる際など、参考になさってください。
2021年8月の予報
2021年8月の予報のポイントをまとめます。8月の気温は図表③のように、
・北日本では平年並
・東日本~西日本では平年並だが高めにぶれる可能性がある
・南西諸島は平年並か高め
という予報になっています。
なお、降水量は南西諸島で平年並だが少なくなる可能性を示唆、それ以外は平年並だが多くなる可能性を示唆する内容となっています。基本的には気温も降水量もおおむね平年並(例年どおり)を前提にしておくとよいと考えられますが、1点だけ注意事項があります。
気象庁は10年に1度、平年値を更新し、直近の平均的な気候の状態をより適切に表現するようにしています。21年5月19日が、その更新のタイミングでした。それまでは(11年以降)、1981年~2010年までの30年間の観測値を基準にした平年値が用いられていましたが、5月19日以降は1991年~2020年までの30年間の観測値を基準にした平年値となりました。
たとえば、東京の8月の平均気温の平年値は26.9℃ですが、従前は26.4℃でした。つまり同じ平均気温の値であっても、昨年までは「平年より高い」カテゴリだったものの、今年は「平年並」のカテゴリに入るという現象が起こり得ます。今年「平年並」の予想であっても、猛暑傾向の可能性を優先的に意識しておくべきでしょう。
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