EC・海外・国内好調で売上過去最高、大幅増益 アダストリアの22年度決算分析

棚橋 慶次
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海外事業も堅調

 30年ぶりとされる物価高にもかかわらず、コロナ収束に伴い消費者のファッション購入意欲は盛り上がりを見せている。外部環境の追い風に加えて、積極的なプロモーション推進も奏功し、2023年2月期の増収率は2割を超えた。既存店売上高は対前期比12.4%増、客数(同5.9%増)・客単価(同6.2%増)とも前年を上回っている。

 業態別売上高は、すべての業態で前期実績を上回った。中核の「グローバルワーク」は2割、積極出店中の「ラコレ」は6割の増収率をマークした。

 Web事業の売上高は、同8.9%増の626億円だった。自社EC「ドットエスティ」の会員数は前期末より190万人増の1550万人に増えた。テレビCMによる誘客や他社商品を含めた品揃え拡充が会員数増につながった。

 海外売上高は、同34.9%増と大きく伸長しており、円安影響を除いた現地通貨ベースでも同15.8%増と2ケタの伸びを示している。地域別では台湾・香港・北米が好調だった一方で、長期間のロックダウンに見舞われた中国が現地通貨ベースで同6.0%減の減収となった(ただし、円ベースでは同7.5%増の増収)。

 利益面を見ていくと、円安・原材料費高騰に伴う仕入原価の上昇を在庫管理の精緻化(適時・適量・適価)、ディスカウントの抑制、販売価格帯の見直しなどでカバーしたものの売上高原価率は、前期から0.4ポイント悪化(44.9%→45.3%)した。

 販管費率は、前期より1.9ポイント改善(51.8%→49.9%)。コロナ収束により、人件費、家賃負担が増加したものの、店舗運営の効率化や増収効果で販管費率を抑制。以上の結果、売上高営業利益率は1.4ポイント改善(3.3%→4.7%)している。

24年2月期は増収増益予想!

 同日に発表した2024年2月期業績見通しでは、営業収益が対前期比7.2%増の2600億円、営業利益が同21.6%増の140億円、当期純利益が同24.7%増の94億円と増収増益を見込む。緩やかな市場環境の改善を前提としつつ、「グローバルワーク」「ラコレ」など成長ブランドの積極出店や海外エリアの成長軌道回復により増収につなげたい考えだ。

 東南アジアでの生産拡大、商品単価の見直し、ディスカウント抑制により、売上高総利益率は1.5ポイントの改善(54.7%→56.2%)を見込む一方で、積極採用や処遇改善による人件費増、マーケティング投資の拡大により販管費率は0.8ポイント悪化(49.9%→50.8%)する計画だ。

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