猫の飼育頭数は堅調に推移、「ドライ」のグルメ志向がますます強まる
[ペットフード]
ペットフード市場を支えるペットの飼育頭数は、近年継続的に犬の飼育頭数が減少傾向にある一方、猫は横ばい傾向にある。ペットオーナーの意識が変化するなかで、ペットはますます家族化の傾向を強め、室内飼育の比率は高まっている。また飼育環境も大きく変化し続けており、グルメフード、とくに猫についてはスーパーグルメフードといわれるカテゴリーが伸長している。(本誌:上明戸聡)
ペットとの関係を重視する意識変化が継続
ペットの飼育状況については、一般社団法人ペットフード協会が毎年調査を実施している。それによると、2018年の犬が全国で約890万3000頭、猫が964万9000頭とされており、この数年継続して犬が減少傾向にあるのに対し、猫は横ばいかやや増える傾向にある。
一方、実際に飼育する世帯では、ペットの位置づけが単なるペットではなく、家族の一員、わが子といった意識が強くなっていることが指摘されてきた。また、それに応じてペットフードの品質に対する関心が高まっており、安全性や機能性、嗜好性を重視する傾向が強まっている。同時に、人とペットのコミュニケーションをつなぐ意味合いから、スナック類などの市場も好調だ。
こうした市場トレンドの変化は数年にわたって継続しており、今後も同様の傾向が続くとみられる。
キャットフードの主力は圧倒的にドライフード
ペットの“食”への関心が引き続き高いなかで、犬・猫ともにグルメ志向の強いフードへの需要も堅調だ。
とくに猫の場合は、同じ味に飽きやすいなど、犬とは異なる習性があり、できる限りおいしいフードを与えて喜んで食べてもらいたい、というペットオーナーの意向から、高価格帯の「スーパーグルメフード」の市場が伸びる傾向にある。
先ほどの(一社)ペットフード協会の調査では、猫の主食のフードタイプ別比率を調査している。この結果を見ると、グルメ志向が強まるなかでも、やはりフードの主力はドライタイプであり、「フードのほぼすべて(90%以上)」あるいは「70%以上」がドライタイプだという層が圧倒的に多い。ドライタイプは鮮度維持のしやすさや与えやすさなど、ペットオーナーにとってもメリットがあり、さらに高い嗜好性を持つグルメフードが市場に増えている。そうした事情もあり、ウエットタイプ、半生タイプを主とする層はかなり少ないことがうかがえる。
市販のフードの多くが、総合栄養食としての栄養バランスを備えているが、実際には猫の食べ方などを見ながら、さまざまなタイプのフードを併用している層も多いようだ。
店頭においては、こうした傾向を踏まえて、スーパーグルメフードのバリエーションを着実に展開するだけでなく、与え方についても多様な提案を行っていくことが重要だ。