日本を代表するブランドへ! 設楽洋社長が明かすビームスのこれから

聞き手:雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集長)
構成:西岡 克(フリーランスライター)

セレクトショップの草分けとして、長年、若者のライフスタイルを変えてきたビームス。同社は今、「カルチャー」や「人」に照準を合わせた施策を推進し、グローバル戦略も本格化し始めた。

すでにアジアでは一定の店舗網を持ち、近く米国への進出も計画する。来年の50周年を見届けたのち2027年4月に引退すると宣言し、次世代に理念を託す設楽洋社長に、これからのビームスのあり方と進む方向について聞いた。

ビームスとしてめざす「プレミアム化」の方向性

──アパレル市場の変化をどう見ていますか。設楽 日本でも階層化が進み、富裕層は高級ブランド、そうでない人は古着やファストファッションを選ぶなど両極端に分化しています。そうしたなかで中価格帯のビームスも、新たなかたちでのプレミアム化、ステータス化を考えなければならなくなりました。

「ビームスジャパン」の店内
「ビームスジャパン」の店内。インバウンドからの支持も高い

──ビームスブランドのポジショニングを変えるということですか。

設楽  プレミアム化と言っても単に価格帯を上げるわけではなく、独自の価値づくりをめざすということです。私は日本という国そのものが、優れたコンテンツやモノづくり、おもてなしなど世界に誇れる国民性・文化性を持つスーパーブランドだと考えています。「日本にはビームスがある」「日本=ビームス」と思ってもらえるような、日本というスーパーブランドを想起させるブランドにする。それが私の考えるビームスのプレミアム化の方向性です。

──その点では、「日本」をキーワードに幅広いジャンルのアイテムを全国から集めて提案する専門店「ビームス ジャパン」も展開しています。

設楽  30年近く前、イギリスの紳士服店で100年前の生地見本を見て、「素晴らしいシルクだ」と褒めたら、「日本の着物の素材だよ」と返されました。また、パリの雑貨店で曲げわっぱが飾ってあるのを見て、「かっこいいな」と思ったこともあります。

 ビームスはセレクトショップとして海外の優れた品を紹介してきましたが、海外に赴くと、私自身が日本の良さを理解していない、と気付かされることが増えていったのです。

 そこで16年に新宿にあった同名の大型店舗を改装して立ち上げたのが「ビームス ジャパン」です。徐々に店数を増やし、今は渋谷や京都にも店舗を構えています。もともとは私の体験同様に、「日本ってかっこいい」と日本人に再認識してもらうことが目的でしたが、昨今は来店客の半分以上をインバウンド(訪日外国人)客が占めるようになり、海外の方々にも大きく支持いただいています。

 また最近では「日光東照宮」や「善光寺」など名所旧跡や世界遺産があるような場所で、地元愛あふれる事業者の皆さまと一緒に店舗を運営する「ビームスジャパン ゲートストア」プロジェクトという独自の事業モデルで出店を進めています。

 ビームス ジャパンが広がることで、ファッションの枠を超えて、日本独自のカルチャーや精神性を世界に発信できる土壌ができ、ひいてはビームス全体のブランディングにも貢献してくれると考えています。

モノからコト、そして「ヒト」の時代へ

──アパレル企業ではなく、文化を発信・創造する存在になろうというわけですね。

設楽  社内では00年ごろから「セレクトショップからカルチャーショップへ」という方針を打ち出し、衣料品だけに限定しない、さまざまなライフスタイルやカルチャーの発信を多角的に進めてきました。ただ、

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聞き手

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集長

1987年石川県生まれ・東京都育ち。上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2015年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。編集記者、副編集長を経て25年4月より雑誌ダイヤモンド・チェーンストアおよびダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長。

これまで、企業特集(トライアルカンパニー、大創産業、クスリのアオキ、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。趣味は無計画な旅行とサウナ。最近は年齢相応(?)にランニングにハマり、フルマラソンも完走。

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