出店、デジタル投資、価格政策……ヨークベニマル真船幸夫会長が語る25年の展望

上林 大輝 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)

人×デジタルで“お客さま”に目を向ける

―デジタルの投資のお考えを教えてください。

真船 店舗の生産性を高める一つの策として、デジタル投資は必要不可欠だ。ただ、デジタルにすべて任せることが「デジタル化」ではない。デジタルは人の持っている潜在的な力を発揮するための時間をつくる手段だ。
 商品の付加価値を高めたり、攻めの商売を推進したり、精度の高い販売計画を考えたり、地域情報の収集をしたりなど、人の力を発揮しながらデジタルも活用する。これがヨークベニマルの方針だ。
 今期は郡山市内のある店舗で、デジタル関連の実験を始めている。ここを軸に検証を進めながら、ほかの店にも取り組みを広げていく。現在は、販売ツールのデジタル化や内部のマネジメントなどが中心だ。
 スマートカートについては、現在約20店舗に導入が進んでいる。

 

―近頃はディスカウントの波が拡大しています。

真船 「価格」はお客さまがお店を選択する切り口の1つであり、避けては通れない。ただ、われわれは安売りできる体質ではないので、どうすればお客さまが求める価値を実現できるかを掘り下げて考えなければいけない。
 リーズナブルな価格でおいしい商品を開発すること、生産性・作業効率を上げることも大事だが、お客さまと接点を持つ時間を確保することも大事だ。また、それらを成果や新しい仕組みにどう結びつけるかまで考える必要がある。
 そうした改善に向けた取り組みを進め、1店舗ごとにムダを一つひとつ排除していく。そういった愚直な活動を続けていきながら、味と品質・インストアの調理技術を高めていく。
 小売はチームでの仕事なので、販売だけでも、デジタルだけでもビジネスは成立しない。会社全体でお客さまに目を向けていかなければいけないと考えている。

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記事執筆者

上林 大輝 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

2000年生まれ。埼玉県出身。法政大学文学部英文学科卒業後、地方新聞社の営業職を経て株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。

流通小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部で執筆・編集を行う。

趣味はお笑い鑑賞、音楽鑑賞。一番好きなアーティストは椎名林檎。

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