マッキンゼーが提言する、食品小売がサステナビリティで取り組むべき5つ「HEEAL」とは

解説・文:船石 智彦(McKinsey and Company パートナー)、櫻井 康彰(McKinsey and Company パートナー)、川西 剛史(mckinsey-and-company-アソシエイトパートナー)、李 婧怡(mckinsey-and-company-アソシエイトパートナー)
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本連載ではこれまで、ポストコロナにおける日本小売企業の成長機会をテーマに論じてきた。第1回では海外成長としての東南アジア戦略について、第2回は新事業モデルとしてリテールメディアを取り上げた。最終回となる今回は、近年日本でも注目度が高まっている「サステナビリティ」について解説する。

食品小売にとってのサステナビリティとは

 「サステナビリティ」は間違いなく重要なトピックであるが、マッキンゼーが実施した2022年の調査によると、日本人のうち、「ブランドを選定する際にサステナビリティを気にする」と答えたのは18%にすぎない。サステナビリティは依然としてブランドの購買の主要な決定要因にはなっていない。

サスティナビリティ イメージ
近年日本でも注目度が高まっている「サステナビリティ」について解説する。(i-stock/Sakorn Sukkasemsakorn)

 ただし、サステナビリティ活動が進んでいると認識されている欧米においてもこの数字は大きく変わらない。とくに欧州では外部ステークホルダーからの要請もあり、食品小売企業のサステナビリティへの対応がデフォルトになっている。日本においても同様のことが起きるだろう。食品小売企業は、「サステナ消費」が到来してから対応をするのではなく、逆に自らサステナビリティを推進することで、生活者を啓蒙していくことが重要となる。

 食品小売は、サステナビリティに向けた活動を推進するうえで、さまざまな産業の中でもユニークな存在だ。食品小売は、地域のコミュニティともつながっていると同時に、地域の雇用を支える役割を担っている。また、農家・畜産などの上流から、消費者の下流に至るまでバリューチェーン全体に影響を与えうる特異な役割も持ち合わせている。

 食品小売企業はサステナビリティ変革を通じて、売上・利益を著しく向上できる可能性がある。欧州でのマッキンゼーの調査では、サステナビリティ変革を通じて30年までに利益(EBIT)ベースで約

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